2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel human cirrhotic liver model using decellularization technique
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19K18144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮内 雄也 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (30839064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱細胞化組織 / 肝硬変 / 細胞外基質 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究では肝硬変における変性、増加した細胞外基質による微小環境が肝細胞に細胞外からシグナルを与えることにより肝特異的機能が低下しているのではないかとの予想を立て、そのシグナルを阻害することにより肝特異的機能を改善することを目的としている。我々は以前肝硬変の細胞外基質が肝癌細胞株にIntegrin-FAKシグナルを介して上皮間葉転換を引き起こすことにより、増殖能や浸潤能、さらに抗癌剤耐性を増強させることを報告した。 同様の手法を用いて、まず肝硬変ラットモデルを作成し硬変肝脱細胞化組織を作成した。対象として通常肝脱細胞化組織を作成した。脱細胞化組織の免疫染色やコラーゲンなどの構成成分の定量を行ない、硬変肝脱細胞化組織ではコラーゲンやなどの細胞外基質が非規則的に増生していることを確認した。 さらに正常肝細胞を硬変肝脱細胞化組織および通常肝脱細胞化組織に注入し、培養することを試みた。正常肝細胞はコラーゲン還流法を用いて採取してきた。採取した肝細胞は低速遠心を行うことで肝細胞の純度を確保し、生存率を確認し90%以上のもののみを使用した。 正常肝細胞を脱細胞化組織に注入する方法としては胆管経路を用いた。23ゲージ針による脱細胞化組織に直接注入する方法や門脈経路も試行したが、門脈経路では正常肝脱細胞化組織、硬変肝脱細胞化組織共に実質内への移行率が低く、直接注入では正常肝脱細胞化組織では一部が実質内から門脈、肝外へ流出してしまい、実質内に生着する細胞数に大きな違いが生まれた。胆管経路では以前の我々の報告と同様、肝細胞であって肝実質内へ移行し、両組織間で生着率に有意差ないことを確認できた。作成した正常肝モデルおよび肝硬変モデルを4日間培養行い、生存率の評価を行った。両モデル感で培地中のLDHの測定を行い有意差がないこと、また培養4日目の残存DNA量にて両モデル間に有意差がないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト検体からの肝硬変組織採取およびヒト肝細胞の採取などヒト検体での研究は進行していない。そのためラット肝硬変モデルによる研究を先行して行なっている。ヒトと小動物で同様の手法によりモデルが確立するかは不透明ではあるが、脱細胞化肝臓の先行研究では小動物と同様の手法によりヒト検体で脱細胞化を行なった報告があるため、まず小動物でのモデルの確立および評価を先行する方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット硬変換脱細胞化組織から作成した肝硬変モデルの作成方法を確立したため今後これを用いて硬変肝における非規則的に増生した細胞外基質が正常肝細胞にどのような変化をもたらせるかを評価する。具体的には培養後の組織から肝細胞を採取し、albやcypなどの遺伝子発現をqRT-PCRを用いて評価行う。また培養後の組織をアルブミンやCypなど肝特異的なタンパクを用いて免疫染色し、正常肝モデルと比較する予定である。さらに培養中の培地中に放出されるアルブミンや尿素といったタンパクをElisa法を用いて定量する。これらにより肝硬変モデルでは肝特異的機能が低下するのかどうかを検証する予定である。 上記により肝硬変モデルにおいて肝細胞の肝特異的機能が低下した場合、何が原因かを検証する予定である。正常感モデルと肝硬変モデルにおいて違いは細胞外基質である。我々は以前細胞外基質のリガンドであるintegrinが肝細胞癌肝硬変モデルにおいて増加し、さらにシグナルパスウェイの一つであるIntegrin-FAKが有意に上昇していることを確認している。そのため肝細胞においても同様にIntegrin-FAK経路が増幅されているのではないかと想定しており、これを検証する予定である。
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