2020 Fiscal Year Annual Research Report
Total kill therapyを目指した癌の多様性維持機構の解明と制御
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19K18145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤野 志季 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10768956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 初代培養 / 大腸癌 / 治療抵抗性 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大腸癌におけるPOU5F1の機能的役割の解析、多様性維持機構の解明をおこなうことを目的とした。 POU5F1可視化細胞の作製と腫瘍多様性に関わる遺伝子の解析のために、POU5F1が活性化した際に緑色蛍光を発現するベクターを大腸癌初代培養細胞に導入した。POU5F1を発現する細胞と発現しない細胞とのマイクロアレイによる遺伝子発現解析において、POU5F1発現細胞ではFGF関連パスウェイなど幹細胞に関わる遺伝子がエンリッチされていることが証明された。さらにPOU5F1遺伝子と治療抵抗性の関連について、低分子化合物の投与下においてPOU5F1を発現した際に特異的に細胞死を誘導できるベクターを構築し、解析を行った。抗がん剤POU5F1を発現する細胞は少ない集団であるにも関わらず細胞障害性薬剤を投与にも残存し、その後、腫瘍の多様性を再構築する能力があることがわかった。また、POU5F1発現細胞に細胞死を誘導した場合は、少量の抗がん剤においても全細胞死を誘導できた。シングルセルの疑時系列解析においてはPOU5F1陽性細胞を起点とした分化リニアージの中に、これまでに報告されている幹細胞や治療抵抗性細胞が存在することが示唆された。さらに、POU5F1陽性細胞をターゲットとして楽剤のスクリーニングをおこなったところ、候補となる薬剤を選定することができた。今後、これらの薬剤の臨床使用へむけた効果の確認、薬剤の組み合わせなどについて検証をすすめていく。
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