2020 Fiscal Year Annual Research Report
SIRT媒介性オートファジー制御がもたらす膵癌間質リモデリング機構の制御
Project/Area Number |
19K18153
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 翔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20801749)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌微小環境 / 膵星細胞 / オートファジー / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
線維芽細胞、細胞外マトリックスから構成される癌微小環境は癌間質相互作用により癌細胞の悪性化、薬剤治療抵抗性に重要な役割を果たしている。我々は膵癌微小環境の中心的存在である膵星細胞の活性化にオートファジーが関与していることを初めて解明した。今回我々はこのオートファジーの活性化に老化・ストレス耐性及び代謝を司るsirtuinが関与しているとの仮説を立て、標的分子をターゲットとした新規治療開発への応用を目指した。膵星細胞のオートファジー活性化に関与する遺伝子群をマイクロアレイで網羅的に探索したところ、sirtuin以外にも候補となる遺伝子が同定された。本年度は、sirtuin以外のこれらの遺伝子に対しても対象を拡大し、これらがオートファジーを介して癌間質相互作用に関わる影響を検証した。 複数の遺伝子を候補として、これらの遺伝子をノックダウンした際の膵星細胞におけるαSMA、オートファジーマーカーであるLC3、p62の発現を蛍光免疫染色、ウエスタンブロットで評価した。その結果、小胞体関連遺伝子をノックダウンした際に、有意にオートファジーの抑制を介して膵星細胞の活性化を抑制することを発見した。小胞体はオートファジーの隔離膜発生の起源と考えられており、それに矛盾しない結果であった。この小胞体関連遺伝子をノックダウンした膵星細胞を、癌細胞と共にマウスに同所移植したところ、ノックダウン群において有意に腫瘍形成が抑制され、組織中の間質形成も抑制されていた。小胞体関連遺伝子が膵癌において、癌間質相互作用を標的とした治療の新たなターゲットとなる可能性が示唆された。 小胞体関連遺伝子以外に関しても、現在いくつかの遺伝子において、siRNAを用いたノックダウン実験でオートファジーの抑制を介して膵星細胞の活性化を抑制することを確認した。
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Research Products
(4 results)