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2019 Fiscal Year Research-status Report

大腸癌における革新的治療を目指したARID1A変異の意義と有用性の解明

Research Project

Project/Area Number 19K18155
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

徳永 竜馬  熊本大学, 病院, 医員 (20594881)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
KeywordsARID1A / クロマチンリモデリング因子 / マイクロサテライト不安定性 / 免疫チェックポイント阻害剤
Outline of Annual Research Achievements

大腸癌は本邦における癌罹患数および臓器別癌死亡数で上位を占め、世界的に研究がすすめられている癌腫である。これまでに申請者らは大腸癌における分子学的背景 (genetic change、epigenetic change) や患者および癌の免疫学的背景に注目した実臨床との橋渡し研究に携わってきた。本研究において注目するARID1Aはクロマチンリモデリング因子であり、その変異は癌におけるマイクロサテライト不安定性と強い相関を示す。近年、ARID1A変異が卵巣癌において免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子になる可能性が報告されたものの、多数の臨床検体を用いてその有用性を示した報告はない。本研究の目的は、大腸癌においてARID1A変異がきたす現象変化を明らかにし、治療のターゲットになりうることを解明することである。ARID1Aは各癌腫において比較的高率に遺伝子変異を認めること(大腸癌においては約10%)から、本研究により大腸癌においてARID1A変異が治療ターゲットになりうることを明らかにすることができれば、大腸癌のみならず各種癌に対する治療法確立の一役を果たすことができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大腸癌の臨床病理学的/分子学的特徴に対するARID1A変異の関連性を検討した。2015年4月から2018年3月までに共同研究者保有の592パネルを用いて次世代シーケンシングを行った大腸癌5,920症例(探索群)およびpublic database から得られた大腸癌2,252症例(検証群)を対象とした。ARID1A変異と臨床病理学的特徴、免疫関連分子学的特徴[マイクロサテライト不安定性(MSI)、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、PD-L1発現量、推定浸潤免疫細胞量]との関連、およびARID1A変異と関連する遺伝子群、をDNA/RNAシーケンシング、および免疫組織化学検査を用いて解析した。ARID1A変異は8-9%に認め、右側およびStageが早期の腫瘍に有意に多かった。ARID1A変異を伴う腫瘍は遺伝子的に不安定な特徴(MSI-high、TMB-high)を持ち、PD-L1が高発現であり(PD-L1-high)、RNAシーケンシングを用いた解析から細胞傷害性T細胞(CTL)の浸潤が高頻度(CTL-high)であることが推測された。また、MSI-highを伴わないARID1A変異腫瘍においても同様にTMB-high、PD-L1-high、CTL-highの特徴を認めた。ARID1A変異と他の遺伝子との関連を検索したところ、クロマチン修飾、DNA修復、WNTシグナル、EGFR経路に属する遺伝子との共変異を認め、パスウェイ解析にてもDNA修復経路と強い相関関係を認めた。また、化学療法/放射線療法の効果予測因子であるATM, ATR, RAD50, およびBRCA1の発現量はARID1A変異腫瘍において有意に抑制されていた。以上よりARID1A変異は大腸癌において新規治療標的になりうることが示唆された。現時点での知見を論文投稿準備中であり、研究は概ね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

ARID1Aは、クロマチンのリモデリングを介してDNA損傷を修復するSWI/SNF複合体のサブユニットである。ARID1A変異は各癌腫において高頻度であると報告されているが、その役割を多数のサンプルを用いて評価した報告は認めない。今後はin vitro、 in vivoのデータにて裏付けをとり、新規の知見を得ることを目標に研究を継続する予定としている。

Causes of Carryover

(理由)試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。

(使用計画)試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 当院における潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘術の工夫2019

    • Author(s)
      徳永竜馬、宮本裕士、日吉幸晴、秋山貴彦、大徳暢哉、坂本悠樹、原田和人、江藤弘二郎、長井洋平、岩槻政晃、岩上志朗、吉田直矢、馬場秀夫
    • Organizer
      第44回日本大腸肛門病学会九州地方会・第35回九州ストーマリハビリテーション研究会
  • [Presentation] 大腸癌患者の術後転帰に対する術前貧血と貧血サブタイプの影響2019

    • Author(s)
      徳永竜馬、宮本裕士、日吉幸晴、江藤弘二郎、 原田和人、岩槻政晃、長井洋平、石本崇胤、岩上志朗、吉田直矢、馬場秀夫
    • Organizer
      第57回日本癌治療学会学術集会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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