2019 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指した膵癌におけるエスシンのNF-κBを介した抗腫瘍効果の解明
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19K18157
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大見 関 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60825488)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / 抗腫瘍効果 / エスシン / NF-κB / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は今までに、膵癌の転移や血管新生に転写因子NF-κBが重要な役割を果たしていることを報告してきた。転移能の高い膵癌細胞株はNF-κBの活性が高く、その下流の血管新生因子VEGF やIL-8の産生を増加することにより腫瘍血管新生を亢進していた。これらより、NF-κBは新規分子標的薬剤のターゲットになると考えられるが、既存のNF-κB阻害薬は副作用が強く、長期使用が困難で臨床応用に至っていない。そこで、副作用が少ないnatural productに着目した。 エスシンは西洋トチノキの種子由来のサポニンで、natural productの1つである。近年、様々な癌種で細胞増殖およびNF-κBのシグナル抑制を介した抗腫瘍効果が報告されるようになったが、膵癌血管新生におけるエスシンの効果は解明されていない。 今回我々は、エスシンが膵癌のNF-κB活性を低下させ、血管新生能を抑制するかを検討した。まず、複数の膵癌細胞株においてエスシンが濃度依存的に細胞増殖を抑制することをWST-1 assayにて確認した。RT-PCRを用いてTNF-αで誘導されたIL-8およびVEGFのmRNAの発現がエスシンによって低下することを解明した。次いで、ELISAでIL-8とVEGFの産生がエスシンの投与によって減少することを確認した。免疫染色でエスシンによりNF-κBの核内移行が抑制されることを確認した。同様に、NF-κB ELISAを用いて、エスシン投与によるNF-κB活性の低下を定量的に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
①血管新生実験 血管内皮細胞、線維芽細胞および膵癌細胞を double chamber 法にて 2 週間共培養し、血管内皮細胞の tube formation の 変化を比較検討する。癌と間質を 2 週間共培養することにより, in vivo に近い環境で血管新生能を定量化できるシステムである。膵癌細胞によって亢進した血管内皮細胞の管腔形成能がエスシンによって抑制されることを確認する。 ②動物実験 ルシフェラーゼを遺伝子導入した膵癌細胞を同所性に移植し、30日後から Vehicle 群とエスシン群にわけ処理を行う。1回/週の腹腔内投与(200μl/mouse)で 4週間処置を行う。1週間毎に,IVIS200(Xenogen)を用いて腫瘍サイズの変化を測定する。その後、腫瘍を病理学的に評価する(Ki-67、CD31、等の免疫染色を行う)。
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Causes of Carryover |
実験計画はほぼ予定通りに進んでいるが、実験用品においてコストダウンが可能であった。今年度は共培養実験や動物実験、そのほか学会発表なども計画されており予算の繰り越しを要すると判断した。
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Research Products
(2 results)