2019 Fiscal Year Research-status Report
The development of targeted therapies to Ca2+ dynamics in colon cancer stem cells
Project/Area Number |
19K18160
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
工藤 道弘 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (20804264)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大腸癌 / 癌幹細胞 / カルシウムウイオン / イオン輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト大腸癌細胞株(DLD-1, HT-29, HCT116)を用いて癌幹細胞の抽出を試みた.まず,癌幹細胞に特徴的とされるCD44, CD133が高発現する細胞の抽出を試み,抽出細胞をSphere formation assayと,血清非含有培地で3D培養を行い癌幹細胞株の樹立を試みた.しかし,抽出細胞のCD44, CD133の蛋白,mRNA発現強度の再現性が得られず,CD44/CD133を用いた癌幹細胞の抽出を断念した.次に,CD44, CD133に加えて,癌幹細胞に高発現するとされるALDH1をマーカーとし,何れかのみが高発現している細胞のみを抽出,同手法で,幹細胞性質を有した集団のみを濃縮し樹立を試みた.結果,CD44,CD133は前者同様に再現性を得ることができなかったが,HT-29よりALDH1を用いて抽出した細胞は幹細胞性質を有しALDH1の発現についても再現性が確認できた.現在この細胞株よりmRNAを抽出し,micro array法による解析に提出,Ca2+イオンダイナミクス関連遺伝子の発現や,Ca2+シグナルの癌幹細胞における役割を検証するための準備を行っているところである. 一方,ヒト由来の癌組織より癌幹細胞成分を抽出するため,切除直後の標本より癌断片を抽出,Trypsin-EDTAと物理的破砕後,フィルターを通し無血清3D培養を行うことで抽出を試みたが細胞の増殖を得ることができなかった.次に近年報告が散見されるCancer Tissue-Originated Spheroid(CTOS)の樹立法に基づき,前述のフィルターを何層か通過させた上で、フィルター上に残存した細胞塊を無血清培養する手法を用いたところ,Spheroidの形成までは確認された.これらも,樹立法が安定次第micro array法による遺伝子解析に提出する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時には以下の4点が2019年度に終了する予定であった。(1) ヒト大腸癌細胞株、手術切除組織からのCSCsの分離と細胞株樹立,(2) 大腸癌幹細胞の網羅的遺伝子解析,(3) 標的遺伝子(特にSERCA)の発現の意義の検討,(4) 免疫組織化学による標的遺伝子(特にSERCA発現)の評価.しかしながら現時点では、(1).(2)の目途がある程度ついた状況である。以上よりやや遅れていると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
Micro array法の結果を確認し、我々が当初仮説として提案したCa2+イオンダイナミクスに関連したイオン輸送体遺伝子、特にSERCAなどに注目して発現程度を調査する予定である。この結果は細胞株由来の結果であるため、ヒト組織より直接樹立した細胞でも同様の結果が得られるかを概要に記載したCTOS法を用いた樹立細胞で再現性の確認を行う。再現性確認が可能であった標的遺伝子について、特異的な阻害剤などの薬剤を検索し、これを用いた場合の癌幹細胞に対する自己複製能や増殖能、stemnessに対する効果をin vitro実験において評価する。次にヌードマウスを用いたin vivoモデルで、大腸癌の皮下腫瘍を作成し、これら薬剤を投与した際の腫瘍増殖抑制効果を評価する。また、当施設における大腸癌手術症例の組織検体に対して標的分子の免疫染色を行い、組織学的または個々の腫瘍学的性質、予後との関連性について評価を行う予定である。
|