2022 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌患者における口腔内細菌叢の網羅的検索による新たな診断方法・予後解析の確立
Project/Area Number |
19K18162
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00535338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 口腔内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌に対する早期発見・診断のためのツール・バイオマーカーの同定、予後評価指標の確立を目標として、本研究を開始した。早期発見は、膵癌治療の喫緊の課題である。本研究では①「膵癌患者における口腔内細菌叢の同定」、②「口腔ケアによるこれら細菌叢の変化の追跡」、③「口腔内と膵癌組織の細菌叢の相関解析」を主要課題として、膵癌の新たな診断・治療・予後解析の確立を目指した。本研究の解析は、次世代シーケンサーを用いた未同定菌の同定と細菌叢の正確な解析を特徴とした。①においては、膵癌患者と健常者における口腔内細菌叢の比較を施行した。結果として、膵癌患者においては、免疫能を反映した結果と考えられるある細菌叢や歯周病に関連するVeillonela 属や Selenomonas 属などの細菌が有意に増加していることが判明した。②においては、口腔ケア後には、これらの細菌叢は変化するが、口腔ケア中止により容易に細菌叢は変化することが判明した。しかし、その細菌叢は、口腔ケア前のものと相関しなかった。③においては、口腔内細菌叢と腸内細菌叢には多くの共通菌種が認められたが、膵癌患者において、系統だった共通の菌種は、見いだせなかった。この結果からは、患者個人の免疫的な背景や口腔内病変の追加解析が必要と考えられた。いずれにしろ、患者個人によるオーダーメイドな解析が必要であると考えられた。 今後は、早期発見・診断のためのツール・バイオマーカーを追求するために、患者別の原因菌の同定と口腔ケアを含めた効率的な治療体系の確立を目指す。つまり、膵癌をターゲットとした早期発見・オーダーメイド治療を実施し、この研究で得られた結果を社会に還元する予定である。
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