2019 Fiscal Year Research-status Report
グラファイトシートを弁尖に用いた大動脈弁再建術に関する基礎研究
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19K18173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 宜孝 金沢大学, 医学系, 医員 (80532275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大動脈弁再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年グルタールアルデヒドで処理された自己心膜を用いた大動脈弁再建術の有用性が多数報告され広く普及し始めているが、その耐久性に関しては不明な点があり、より耐久性の高い方法の検討が必要と考えられる。既存の機械弁に用いられる素材にグラファイトが使用されているが、グラファイトをシート化し厚みを薄くする技術も進歩している。また、グラファイトシートは軽量で柔軟であるため加工が容易という特徴がある。この特性を生かしてグラファイトシートを自己心膜の代わりに大動脈弁再建術に用いることで、耐久性の向上につながる可能性があると考え本研究を開始した。 使用予定のPSGグラファイトシートは各種厚みがあるため、本年度は素材であるグラファイトシートを実際に切離、縫合を行い適切な厚みや使用する縫合糸に関する研究を行った。 0.1mm,0.2mmのPSGグラファイトシートの素材の確認を行った。0.2mmのPSGグラファイトシートは、柔軟性にやや乏しく屈曲等で亀裂を認めたため、使用は困難と判断した。0.1㎜のPSGグラファイトシートは、0.2mmmシートよりも柔軟性に優れている印象であった。実際に自己心膜を用いた大動脈弁再建術に心膜と弁輪部の縫合に用いる4-0モノフィラメント糸を0.1㎜のPSGグラファイトシートに縫合する実験を行った。針糸は抵抗なくスムーズに刺入可能であった。しかし、わずかな力で牽引方向へのシートのカッティングを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、以下を予定していた。 ・使用するグラファイトシートの素材を実際に切離縫合し、血栓性の評価を行う。 ・弁の耐久性評価のための機器の選定 グラファイトシートでの切離や縫合実験を施行したが、予想よりも柔軟性に乏しく針糸でのカッティングを起こしやすく、素材としての適性判断を再考慮する必要があると判断されたため、血栓性の評価まで施行することができなかった。また、弁の耐久性評価に使用する機器についても予定の金額よりも高額であり再検討が必要な状態となった。上記の状態であり、素材としての適性の再考を行った上で、予算のかかるその後の研究を行う必要があるため結果として遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
グラファイトシートの種類を変えて素材の適性に関する研究を継続する。明らかに素材として無理がある場合には、その後の追加研究を見直す必要があると考える。 使用可能な場合には、血栓性試験や耐久性試験を予定通り施行する。耐久性試験に使用する機器の金額により、施行できる研究の内容が変更となる可能性がある。
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Causes of Carryover |
グラファイトシートの素材確認を進める過程で、素材の見直しの必要があると判断し、本格的な耐久実験等の機械の購入がされていないため。
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