2020 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全における腸内フローラの探索による逆行性感染症の防止の検討
Project/Area Number |
19K18178
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中江 昌郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00838584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 重症心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
他領域(心不全、糖尿病など)における腸内細菌叢変化とその病態への関与の報告と同様に、重症心不全外科手術(補助人工心臓植え込み術、心臓移植術など)の前後で、腸内細菌叢の変化やそれらの病態への関与が認められるかどうかを観察し、病態との相関関係を明らかにする事を目的として研究を行った。術前と術後に便中あるいは直腸内擦過により検体を採取した。16SリボゾームRNAコード遺伝子シークエンスを行い、検体に含まれる腸内細菌叢の構成を解析した。各研究対象者において、それぞれ術前後で腸内細菌叢の分布に有意な変化を認めた。一方で、研究の目的であった術前後の心拍出量増加に伴う血行動態変化に対する有意な一定の傾向を認めるに至らなかった。原因としては、他の報告にもあるように、ベースとなる術前の腸内細菌叢分布に個体間のばらつきがあった事、各研究対象者における術前の併存症や他臓器障害程度が多様であった事、個々の研究対象者に対する周術期の抗生剤・免疫抑制剤などの薬剤使用に違いがあった事、各症例において術後の食事再開時期が臨床経過によって様々であった事などが原因と考えられた。今回、重症心不全外科手術前後での腸内細菌叢変化について一定の傾向は認められなかったが、変化を捉える事ができた。重症心不全患者においては他の併存症や他臓器障害が極めて多様である事に加え、腸内細菌叢変化に影響を及ぼす因子が術前・術中・術後にかけて多数存在する為、今後の研究でこれらの因子を調整した解析を行うと同時に、症例数の積み重ねを行い検討を行う事が望ましいと考えられた。
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