2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of warfarin-free mechanical heart valve using DLC coating
Project/Area Number |
19K18184
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
衛藤 弘城 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70637157)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Diamond-like-carbon / 人工弁 / 血液適合性 / 血栓予防 / ブタ / 心臓弁膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
DLCコーティングをSJM機械弁の弁葉にコーティングすることに成功した。若干コーティングむらがあり、コーティング方法の調整が必要である可能性があると思われた。作成した機械弁を、ブタ大動脈弁位に人工心肺下に植え込む手術を施行した。全身麻酔(獣医施行)下に、大動脈送血、上下大静脈脱血で人工心肺循環を確立し、大動脈遮断後、心停止液で心臓を停止させた。大動脈を切開して、大動脈弁位に人工弁を逢着した。切開した大動脈を縫合閉鎖後、空気抜きを行い、大動脈遮断を解除したが、心房細動となり、電気ショックにても心拍再開を得ることができなかった。残念ながら、長期生存にもっていくことができず、本症例の手術は終了した。一応、逢着した人工弁は摘出し、ホルマリン保存とした。安楽死後に確認したところ、人工弁逢着に使用した糸の一部が左冠動脈主幹部にかかっており、冠動脈血流の阻害が心拍再開をはばんだものと思われた。ブタと人ではだいぶ3D構造が異なり、次の手術での失敗を予防する知見と経験を得ることができた。ブタの大動脈弁輪は小さく、人工弁は17mmが手に入るのであれば、17mmが留置しやすい。 また、In Vitro実験系では、血小板吸着試験で、DLCは血小板の付着が少なく、フィブリノーゲンの付着が少なく、アルブミンの付着が多いとの結果を得た。これらは、通常、血栓を形成しにくい組み合わせの結果であり、DLCはやはり抗血栓性を人工弁に付加する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工弁のDLCコーティングに成功した。人工心肺使用下による、植え込み手術1例をおこない、失敗したものの、手術についての知見と経験をえることができた。また、In-Vitroでは抗血栓性の望ましい結果を得た。1年目としては、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き、ブタの人工心肺使用下大動脈弁人工弁置換術を施行していく。DLCについては、タンパク付着試験の網羅的分析を行い、どんなタンパクが付着しやすいのか?調査する予定である。DLCのコーティングむらについては、研究分担者中谷に施行を依頼する。
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Causes of Carryover |
次の大動脈弁置換術手術が次年度にずれ込んだため繰越金が生じた。 当該繰越金は、次年度分の予算とあわせて大動脈弁置換術手術において必要となる 消耗品等に使用する予定である
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