2022 Fiscal Year Annual Research Report
16S rRNA配列解析を利用した感染性大動脈瘤患者の起炎菌同定法の開発
Project/Area Number |
19K18190
|
Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松岡 孝幸 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80816447)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 起炎菌同定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「16S rRNA遺伝子の塩基配列決定による起炎菌同定法」の感度向上を目指した本研究によって、これまでに、感染性大動脈瘤患者、感染性心内膜炎患者、人工血管感染疑い患者などの症例に対し、血液検体及び組織検体から起炎菌の同定を図ってきた。2021年度までに20検体中18検体で起炎菌同定、あるいは陰性の一致を確認できており、2022年度は症例が3件と少ないながらも、縦隔炎の起炎菌としては世界で初めてとなる菌種の同定にも成功している(未発表、今後報告予定)。さらに一部の症例では、含有菌量が格段に少ない血液検体からも起炎菌同定が実現した。それらの結果は、血液培養検査の結果よりも早期に判明し、培養検査の結果と完全に一致していることも確認できたことから、本研究手法が感染症治療にとって有益な情報、有効な検査手法になり得ることが示された。一方、残りの症例では、検出された菌種が血液培養検査の結果と一致せず、培養検査自体にも当てはまるが、採血時に混入した微量な細菌を検出している可能性が示唆され、今後の課題となっている。 本研究を遂行するに当たって、PCR法をベースとした手法の限界も認識するに至っている。つまり、PCR法は短時間に 30°C近い温度差の熱サイクルを繰り返す必要があるため、反応系の容量を大幅に増大させることができない。その容量制限によって、検体から調整されたDNA抽出液の一部しか反応系に投入することができず、当手法の検出率を大きく制限している一因になっていると考えられ、今後の更なる研究推進に着手しているところである。
|
Research Products
(1 results)