2019 Fiscal Year Research-status Report
光音響イメージングによる、リンパ管-細静脈吻合術後における脈管変化の3次元的解析
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19K18191
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河野 暉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00815897)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リンパ管吻合術 |
Outline of Annual Research Achievements |
光音響イメージングによって、リンパ浮腫の外科的治療であるリンパ管細静脈吻合術(LVA)における術後の開存評価や、リンパ管や静脈系に生じる変化について評価するために、以下の試験を行った。 1 静止画の解析: これまでのデータも含め、LVAの前後で光音響イメージングの画像が得られたのは4症例であった。このいずれにおいても、撮影範囲の全体において術後にはリンパ管は明瞭化し、静脈の径は縮小傾向を認めた。LVA吻合部に注目すると、リンパ管と静脈の両者が同定できるもの、リンパ管か静脈のいずれかが消失したように見えるもの、両者が消失したように見えるもの、の4パターンを認めた。これらが吻合部の開存もしくは閉塞を示す所見と言えるのかどうかについては、症例を重ねて検討する必要があると考える。なお光音響イメージングでは術後1週間においても明瞭なリンパ管画像が得られたが、吻合部においては11-0黒ナイロンから強い光音響信号が生じており、観察は困難であった。この信号は、術後1-2か月以降は消失することが判明した。 2 動画の解析: 光音響イメージングの撮影中にLVAの吻合部を同定するには、検査への慣れを要した。また、表在のメラニンや毛根などの信号が邪魔をして、吻合部が明瞭に観察できない場合が少なくなかった。吻合後のリンパ管の蠕動様運動については、明らかな変化を認めなかった。 3 臨床所見との比較: すべての患者で、術後に浮腫が増悪した例はなく、改善の程度は「ほぼ無し」から「とても改善した」とばらつきが見られた。一方で光音響イメージングの画像では、程度の差こそあれ一環してリンパ管は明瞭化し、静脈の径は縮小する傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに研究を実施しており、新たな知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスに関連した診療制限の影響は大きく、臨床研究が中断されている状況であるが、再開され次第、被験者のフォローアップの撮影などを再開し、さらに知見を深める。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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