2019 Fiscal Year Research-status Report
腹部大動脈瘤における動脈硬化進行度と腸内フローラの関連性の検討
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19K18194
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 栄作 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40647020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 腸内細菌叢 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤は大動脈壁が拡張・瘤化し破裂に至る致死的疾患だが、病態解明や予防の研究は発展途上である。とくに「動脈硬化性大動脈瘤」と診断されるなかには石灰化、狭窄、壁在血栓などの動脈硬化性変化の強い患者と、動脈硬化性変化のほとんどない患者が経験される。我々は除外診断的に「動脈硬化性大動脈瘤」と診断されている動脈瘤の中に、血管内皮障害を背景とした“血管がたがた型”大動脈瘤と、その他の原因による“血管つるつる型”大動脈瘤が存在しているのではないかと考えている。一方で次世代シークエンサーの登場により腸内細菌叢の解析が飛躍的に進み、腸内細菌叢と様々な疾患との関連性が解き明かされつつある。特に腸内細菌叢と動脈硬化の関連においては本邦を中心にエビデンスの集積がされており、食事や腸内細菌がどのように動脈硬化に影響を与えるかの研究が進んでいる。本研究により大動脈瘤における腸内細菌叢との関連について明らかにし、さらに動脈瘤における動脈硬化進行度と腸内細菌叢の関わりについて検討したい。 2019年度は大動脈瘤患者のデータ集積を進めながら、便、唾液、血液検体から腸内細菌叢を解析する研究基盤を構築した。また、健常コントロールとして高齢鼠径ヘルニア患者のデータ集積を開始した。ひとつの成果として、第60回日本脈管学会において、腹部大動脈瘤におけるCT画像における動脈硬化進行度と血管内皮機能障害の関連性について報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体採取などの基盤整備に時間を要したため、大動脈瘤症例のデータ集積は年間50例ほどを予定していたが1年間で30例にとどまっている。また、健常コントロールとして想定していたボランティアが集まらなかったため、2020年1月からは60歳以上の鼠径ヘルニア患者に変更している。こちらは2か月で10例ほど集まっており順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き順天堂大学腸内フローラ研究講座と共に議論を進め、データ集積を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
動脈瘤患者のデータ集積が遅れているため。また、健常コントロールの検体採取を開始するにあたり研究基盤の構築のため時間を要したため。
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