2019 Fiscal Year Research-status Report
収縮後期僧帽弁逸脱に及ぼす弁形成術の効果:一次性弁輪拡大による二次性逸脱の可能性
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19K18199
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
屏 壮史 産業医科大学, 医学部, 助教 (50803946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 僧帽弁逸脱症 |
Outline of Annual Research Achievements |
収縮後期僧帽弁逸脱(MVP)の本態は、「収縮早期より後期にMVPが増悪する(=閉鎖弁尖が収縮期間中に左房方向へ上方移動する)」であるが、その機序は不明である。これ迄に我々は収縮後期MVPでは収縮期僧帽弁尖(MV)の異常上方移動(逸脱)とPMの異常上方移動が同時に出現すること」を解明したが、両者の因果関係および治療法の開発は未解決であった。 本研究では、収縮後期MVPにおいて(1)僧帽弁尖(MV)の異常上方移動(逸脱)が原因で、結果としてPMの異常上方移動が出現することを解明し、さらに(2)弁輪が拡大し弁尖が大きくなり、収縮期左室圧による弁尖押し上げ作用が亢進し、その結果MV異常上方移動(逸脱)およびPM異常上方移動が出現する、従って『外科的弁形成術(弁輪縮小およびMV押し上げ作用減少をもたらす)後には収縮後期M V Pが改善する』ことの解明を目指している。 本年は収縮後期MVP及び全収縮期MVPを対象として、①:断層心エコー法を用いて収縮早期および収縮後期の弁尖閉鎖位置(弁輪に対する弁尖の高さ)を測定し、収縮後期MVP(MVの異常上方移動)を定量している。②:断層心エコー法の組織追跡法を用いて収縮期間中の弁輪・弁下部PM 基部・先端の移動を測定し、PM動態および収縮も定量している。③:①および②が 弁輪形成(縮小)を含む僧帽弁形成術後にどのように変化するか検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象として健常群、全収縮期MVP、収縮後期MVPの3群に分類して心臓超音波検査法などのデータを集積できている。現在はまだ症例数は少ないが、統計解析結果では収縮後期MVP全般において術前には①収縮早期MV押し上げ作用の増大・②MVの収縮期異常上方移動・③PMの収縮期異常上方移動が見られ、僧帽弁形成術後には①は著明に減弱し、②③は消失することが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対象となる僧帽弁逸脱症の患者数を増やし、データ集積を進める。さらに、今後は僧帽弁形成術後の急性期における心臓超音波検査法のデータ集積のみでなく、慢性期におけるのデータ集積を併せて行い、比較検討する。
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Causes of Carryover |
対象患者のデータ解析のためのソフトウェアが予想よりも安価だったこと、また資料収集のため予定していた国際学会が中止となり、本年度の使用額は少額ととなった。 次年度以降には集積したデータ解析のための物品費、研究に関する資料収集のための学会参加、研究成果の学会発表と論文発表のための費用として使用する予定である。
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