2019 Fiscal Year Research-status Report
生体多光子励起イメージング技術を利用した胸部腫瘍の新規低侵襲診断装置の開発
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19K18211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 聖治 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50836252)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体イメージング / 同所移植モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
癌腫の診断は主に病理検査によって行われるが、侵襲的で診断までに時間を要する。本研究は、多光子励起イメージング技術を用いた新たな低侵襲的癌診断技術を開発することを目的とした。当技術を用いることで、癌・非癌部の境界を認識できるようになれば、この技術を手術時の胸腔鏡カメラに導入することで、より侵襲の低い術式へと術中に変更することが可能となり、その結果患者の術後呼吸機能の温存につながる。また、この技術をマウスの肺癌細胞同所移植モデルに用いることで、肺腫瘍内における癌細胞と免疫細胞の動態や相互作用の解明を行い、より高度な生体内細胞動態を可視化することで、生体イメージングを用いた新たな癌診断法を確立する。 手術で摘出された肺組織を用いて多光子励起イメージング技術による観察を行い、最適な観察系を検討した。その結果、肺胸膜面からの観察では、胸膜線維とその直下の肺組織構造、並びに肺胸膜に浸潤する癌細胞を観察できた。この結果から、胸膜浸潤の有無の判定に当技術を用いることで、非侵襲的に組織学的胸膜浸潤の評価が可能となる可能性が示唆された。また癌組織の切離面からの観察では、実際の組織病理学的画像と同様の特徴を描出できた。この結果から、非侵襲的に肺癌の組織亜型まで評価可能となる可能性が示唆された。次に、予備実験としてマウスの同種同所移植モデルを作成した。今後ヒトの肺組織における多光子励起顕微鏡を利用した観察系を、ヒト組織および動物モデルの観察に応用することで、細胞レベルでの癌の動態や形質変化の解析が可能かを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多光子励起イメージング技術を用いてヒトの肺組織を観察することで、非侵襲的な組織学的胸膜浸潤の評価や組織亜型の診断の可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後ヒトの肺組織における多光子励起顕微鏡を利用した観察系を、ヒト組織および動物モデルの観察に応用することで、細胞レベルでの癌の動態や形質変化の解析が可能かを検証する。当研究室で利用可能なトランスジェニックマウスにおいても同様の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で物品が安価に購入できたため。また、動物実験施設の建て替えによる影響で数か月間動物実験が出来なかったため、次年度において動物実験を行う予定である。
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