2021 Fiscal Year Research-status Report
新たな亜型分類に基く肺高悪性度神経内分泌癌の新規予後マーカー探索と個別化治療確立
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19K18213
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
神保 直江 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (00773772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小細胞癌 / LCNEC / 大細胞神経内分泌癌 / 分子分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を始めて以降、小細胞癌は4つの因子(ASCL1, NEUROD1, POU2F3, YAP1)の発現により4タイプに、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)は主にRb1の不活性化の有無で非小細胞癌型と小細胞癌型の2タイプに分類することが提唱され(Rudin et al. Nature Rev Cancer 2019)、この考えは、肺神経内分泌癌の分子分類として受け入れられつつある。
分子分類は免疫染色でも再現可能であり、小細胞癌及びLCNECに対して、ASCLC1, NEUROD1, POU2F3, YAP1及びp53, Rb1の免疫染色を行った。ASCL1, NEUROD1はdoble-positiveとなる例が多かったのに対して、POU2F3陽性の神経内分泌癌は、神経内分泌マーカーの発現が有意に低く、POU2F3のみ陽性と独立性があることがわかった。これらの結果は、既報(Baine et al, JTO)とも一致する結果であったが、それに加えて、分子分類によって、形態学的な特徴や臨床病理学的な特徴にも差があるようであり、この点について客観的データとともに結果を詰める予定である。
分子分類そのものが予後と関連する可能性が高く、当初予定していた亜型ごとに予後マーカーを選出する必要性が低いこと、また亜型ごとの予後マーカー選出には当初予定していた症例数では足りないことが予想されるため、この点については見送るか、症例数、結果に応じて、研究デザインを柔軟に変更する可能性も考慮している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を始めて以降、肺神経内分泌癌における分子分類という概念が登場したことで、結果的には、この分子分類のパターンによって、予後や臨床病理学的な特徴に差があるということを、確認できた。当初予定していた方針とは異なるが、分子分類は実際の病理診断でも応用可能であり、日々の病理診断で再現可能ことを確認できた点でも意義は大きいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
概要にも記したように、分子分類によって、形態学的な特徴や臨床病理学的な特徴にも差があるようであり、この点について客観的データとともに結果を詰め、英語論文への投稿を予定している。 また、症例数や資金に余裕があれば、亜型ごと(特に最多のASCL1 type)に予後マーカーを選出する点についても検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
2019年11月から2020年7月まで 産休および育児休業のため研究が中断した。 また、復帰後は、COVID19による保育園休園、出勤制限、研究制限により、十分に研究を進められなかった。
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