2019 Fiscal Year Research-status Report
ラット胎仔肺細胞より作成したオルガノイドの経気道投与による肺再生の可能性
Project/Area Number |
19K18219
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 大資 徳島大学, 病院, 医員 (10761893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再生 / 幹細胞 / 肺 / オルガノイド / 気道投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、われわれはラット胎仔肺組織移植モデルを用いて肺の再生にアプローチしてきたが、その一連の実験の中で胎仔肺細胞を用いて作成した肺オルガノイドを肺再生の細胞ソースとして用いることを考え、これを経気道的に投与する実験計画を立てた。 第一段階として、ラット胎仔肺細胞から作成したオルガノイドを正常ラット肺に気道内投与し、生着・分化して成熟肺を構築することを確認する。胎齢17日のGFP胎仔肺組織を採取し、肺オルガノイドの作成を行っている。胎仔肺採取とオルガノイドの培養についてはこれまで行ってきた実験の経験から問題なく行えた。しかしながら、移植至適時期について培養開始後4, 6, 8, 10日のオルガノイドを候補としているが、real time RT-PCRによる未分化マーカーと分化マーカーの発現程度が安定せず時間を要した。実験を重ねて培地や添加するFGF-10とHGF等の濃度のoptimisationが進み、安定して培養ができるようになってきた段階である。 また、オルガノイド作成と並行して、ラットへの経気道的移植技術の習得とブレオマイシン誘導肺障害モデルラットの作成を行ってきた。具体的にはラットへの気管挿管もしくは気管内チューブ留置手術による薬剤投与であるが、これまで行ってきた実験により技術が安定していたため、問題なく行えた。 これから実際にオルガノイド投与による移植実験を行っていく予定である。オルガノイドの安定した作成と移植実験を進めて検体を採取し、免疫染色・real time RT-PCR・電子顕微鏡による超微形態観察ならびにCT撮影を行う予定である。最終的には機能的な評価も行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第一段階として、ラット胎仔肺細胞から作成したオルガノイドの投与を計画していたが、移植至適時期の検討に時間を要した。培養開始後4, 6, 8, 10日のオルガノイドで計画していたが、real time RT-PCRによる未分化マーカーと分化マーカーの発現程度にばらつきがあった。このため、培地や添加するFGF-10等の濃度に調整が必要で、この検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトコールを微調整しながら、少しずつではあるが、安定してオルガノイド作成ができるようになってきたため、方針に変更なく移植を進めていく。オルガノイドの経気道投与の手技は問題なく行えるため、まずは正常ラットに対してオルガノイド移植を行う。並行してブレオマイシン誘導肺障害モデルラットを作成し、この群に対しても順次オルガノイド移植を行っていく。採取した検体は順次、免疫染色・real time RT-PCR・電子顕微鏡、CT撮影を行い、評価を進めていく。最終的には機能的な評価も行いたい。
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Causes of Carryover |
オルガノイド作成に時間を要したため、予定していた移植手術が行えず、これに必要なラットや器具・薬剤の購入を行わなかった。また、採取した標本の評価に予定していた免疫染色やPCRも行えなかったために未使用分が生じた。予定していた移植手術は今後行っていく予定であるため、この実験に必要なラットや器具・薬剤の購入に使用する予定である。また、引き続きオルガノイド作成等も継続していくため、これに必要な薬剤購入等に使用する予定である。
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