2020 Fiscal Year Research-status Report
左肺上葉切除術後の左上肺静脈断端の血栓形成の原因検索および予防に関する研究
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19K18221
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
梅原 正 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (20837794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 4D flow MRI / 肺静脈断端血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌はわが国において最も死亡者数の多い癌腫である。その治療法として手術や放射線治療、薬物療法があるが、早期肺癌においては手術が第一選択の治療法である。肺癌手術の標準術式は肺葉切除であるが、最近肺葉切除後の肺静脈断端に血栓が発見されるという報告が増えてきている。そのほとんどは左肺上葉切除後の左上肺静脈断端に認められており報告によると左肺上葉切除症例のうち10%を超える症例で左上肺静脈断端の血栓を認めるとされている。血栓が可動性を有する場合は塞栓症をきたす可能性が高く、特に脳梗塞の報告はしばしば散見され致死的合併症となりうる。肺静脈断端の血栓形成については未だ不明であり、予防策としてさまざまな方法が試みられたが、依然として有効な予防策を得ていないのが現状である。肺静脈断端の血栓形成の原因を解明しそれに対する的確な対処をすることで血栓形成の予防、ひいては致死的合併症の予防につながると考えられる。 今回我々は肺葉切除後の肺静脈断端血栓の原因を解明するため、4D flow MRIを用いて左房内の血行動態を解析した。肺静脈断端近傍の流速のばらつき、to and froを流速のSDとして算出し、また、乱流の指標とされているEL(energy loss)を全例で算出した。左上葉切除後は他の肺葉切除と比べてSDが有意に大きくなっていることがわかった。また、肺静脈断端血栓の発生が最も多い左上葉切除に限定して、SDとELを血栓の有無で分けたところ、血栓形成例ではSDとELの組み合わせが、ある数値の範囲に集まっていることが分かった。そこが血栓形成を起こしやすい血行動態なのではないかと考察し、血行動態と血栓形成の関係について研究している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究によって、術後の肺静脈断端血栓と関連が疑われる血行動態が解明されつつある。 これまでに同内容を呼吸器外科学会、胸部外科学会、肺癌学会、The 10th Biennial Conference of Asian Thoracic Surgical Club (ATSC)にて発表した。また、journal of thoracic diseaseにFour-dimensional flow magnetic resonance imaging study to explain high prevalence of pulmonary vein stump thrombus after left upper lobectomyとして報告した。さらに追加内容を投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
他のモダリティや臨床データも解析しながら、術後の肺静脈断端血栓が血栓形成前や術前に予測できないかを検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大に伴う制限により、研究の縮小を余儀なくされたり、学会発表がweb参加となり旅費がかからなかったため、次年度使用額が生じた。 さらなる研究解析のためのツール購入や論文投稿のために使用予定である。
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Research Products
(3 results)