2019 Fiscal Year Research-status Report
肺移植における第3群肺高血圧症の検討:NCXの関与と新規治療標的としての可能性
Project/Area Number |
19K18230
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
永田 旭 福岡大学, 医学部, 助教 (30804794)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肺高血圧 / NCX / 肺移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺高血圧症(PH)は肺動脈圧の持続的上昇とそれに引き続く右心不全を生じる予後不良疾患群で、病態・病因に応じて5群に分類される。著者所属施設は国内9施設の肺移植実施施設の一つであり、診療対象の肺移植候補患者は第3群に分類される「肺疾患に伴うPH」をしばしば合併している。第3群PHの悪化はときに末期呼吸不全患者の致命的経過の引き金となりうるため、その制御は待機中死亡の低減と肺移植への到達機会の増加に寄与しうるが、特に薬物的な制御に関しては定まった知見は少ない。本研究では、肺移植適応患者の臨床データ及び摘出肺組織を用いて、近年肺高血圧発症・悪化における役割に注目がなされ、治療標的分子としても期待されているナトリウム-カルシウム交換体(NCX)と第3群PHとの関連を解明し、新規治療薬の開発の一助とすることを目的とした。当初の予定では初年度は学内倫理委員会の承認を得て、脳死肺移植待機リスト登録患者の臨床データの集積と解析を行い、その上で肺移植実施患者の摘出組織の組織学的評価の一部にとりかかる予定であった。脳死肺移植待機リスト登録患者臨床情報のデータベース化に関しては予定より時間を要したものの完了し現在解析を実施している段階である。今後は、当初実施予定だった本研究のもう一つの骨子である肺移植後摘出組織の一般的形態評価(HE染色やEVG染色)や免疫組織化学的評価(抗体染色)を行い、画像解析ソフトによる肺高血圧病変(筋性化動脈など)の定量的評価を実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究施設内のIRB承認に時間を要したこと、研究対象の臨床記録の一部が電子化されておらず、また電子化されていても統一した形態ではなく把握に時間がかかったこと、さらには臨床記録をデータ化しての入力に医学的知識を必要とし研究補助者への委託が困難で、研究責任者自身が実施せざるを得ずデータベース構築に想定以上に時間を要したことから進行状況は遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
組織学的評価に際しては、臨床データの解析結果を十分フィードバックしながら、病理学講座並びに薬理学的講座の補助も仰ぎ、当初の予定に従い一般形態学的評価と免疫組織化学を併用して多面的に行う予定である。画像評価ソフト(ImageJ)を用いた肺高血圧病変の定量的評価をソフトの機能も積極的に利用して効率的に推進する。
|
Causes of Carryover |
比較的費用を要しない過去臨床データからのデータベース構築に時間を要したため、費用を計上する必要のある組織標本の作成や画像解析用のパーソナルコンピューターの購入を実施しておらず次年度使用額が生じた。臨床データの収集は終了し次年度は組織学的評価が主となるため、前年度購入予定だった器具と合わせて計画を執行する予定である。
|