2020 Fiscal Year Research-status Report
急性期疼痛時の脊髄におけるnNOSとCOX-2の関連性
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19K18238
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大西 毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60804573)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 一酸化窒素 / 光学イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢組織の傷害によって生じる炎症性物質などが持続的に作用し,神経障害性疼痛などの 慢性期の疼痛に移行していくことは知られているが,急性期から慢性期に移行する間の機序 については不明な点が多い.申請者はこれまでの研究において,マウスの後肢を虚血状態とすると,その直後から脊髄に存在する神経型一酸化窒素合成酵素 (nNOS) の活性化によって一酸化窒素 (NO) が産生され,両側性に神経活動を増強させることを明らかにした.そこで,本研究では末梢の傷害後早期に脊髄で起こる変化について,NO産生後の作用機序を解明すべく研究を遂行している. まず,生体内で起こる神経活動についてGCaMPを導入した遺伝子改変マウスを用いて触刺激に対する変化や痛み刺激への変遷に伴う反応強度や反応面積の変化について確認することで,その後の疼痛モデルに応用したいと考えている.現在は,GCaMP導入マウスの調達の目処が立っており,画像解析装置の準備が整い次第実験を遂行する予定である.GCaMPマウスはこれまで使用していたナイーブマウスと比較して刺激に対する反応強度が強いことが予想されるため,最適な光量や解像度を検討する. 疼痛モデルの確立後に当初の実験計画であるnNOSとシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2) に焦点を当ててその関連性を調べる予定である.COX-2は,サイトカインの刺激によって産生が亢進され,炎症作用を促進ことで急性期の疼痛に関連する物質として知られている.両物質の関連性を明らかにすると共に,活動強度が強く持続時間が長い生体内イメージング手法を確立することが本研究の目的である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行によって臨床業務が多忙になったことによって,本研究に対するエフォートの割合が低下したことが,研究遂行が遅れている最大の原因である.また,遺伝子改変用のウイルスベクターは海外から購入しているため,今後の情勢によっては研究用の試薬や資材の調達に影響が出る可能性も考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスベクターの調達については不透明な点も多いが,GCaMPを導入された遺伝子改変マウスについては短期間で調達の目処が立ったため,これを用いたイメージング手法をナイーブマウスと比較すると共に,最適な手法を確立していきたいと考えている.新型コロナウイルス感染症の流行次第でエフォートの割合が流動的であるため,まずは安定した画像取得と解析がGCaMPマウスで確立できることを目指し,新規性が高ければ一度論文として報告したいと考えている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に伴う臨床面での業務が当初の想定以上に必要となり、本事業に対するエフォートが著しく低下したため、助成額の差額が生じた。 今年度も引き続き臨床面での負荷が大きくなることが予想されるが、効率的に実験を行うための解析ソフトの作成を依頼している。解析ソフトの作成代や試薬・マウスの購入、飼育代で研究費の使用を予定している。
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