2019 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア機能解析を基軸としたプロポフォールの細胞毒性機構の分子生物学
Project/Area Number |
19K18256
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
角 千里 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (00580466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロポフォール / プロポフォール注入症候群 / ミトコンドリア / 低酸素誘導性因子1 / 代謝 / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
プロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome, PRIS)の病態の分子機序の解明は麻酔科学の大きな課題の一つである。本研究ではこの成果を基礎として,様々なミトコンドリアDNA変異を持つtransmitochondrial cybrids細胞を用いまたミトコンドリア蛋白質の発現を遺伝子操作で制御するなどの手法を駆使してプロポフォールの標的蛋白質の同定することが本研究の主たる目的であった。この目的の達成のために研究初年度に以下の検討を行った。 細胞外フラックスアナライザーと神経由来の細胞株を用いて細胞の酸素代謝、ブドウ糖代謝をアッセイする実験系を確立した。この実験系を用いてミトコンドリア電子伝達系の各複合体活性にプロポフォールが及ぼす影響を検討した。ポジティブコントロールとして各複合体特異的な阻害薬を用いた。この結果プロポフォールは複合体I, II, IIIに依存した酸素消費を抑制するが複合体IV依存の酸素消費には影響を与えないことが判明した。さらにこの観察事実はミトコンドリアDNA変異を持つtransmitochondrial cybrids細胞を用いた実験でも確認できた。さらに細胞内のATP動態を細胞質、核、ミトコンドリアなどの各コンパートメント別に可視化と共に明らかにする目的で生細胞内のATP濃度をリアルタイムに可視化できる蛍光プローブ ATeamを構成的に発現する細胞株を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞外フラックスアナライザーと神経由来の細胞株を用いて細胞の酸素代謝、ブドウ糖代謝をアッセイする実験系を確立できた事にくわえて生細胞内のATP濃度をリアルタイムに可視化できる蛍光プローブ ATeamを構成的に発現する細胞株を樹立でき研究計画にそった実積をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま研究計画に則った研究活動を継続していく。
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Causes of Carryover |
研究の遂行にあたり必要に応じて無駄のない研究費の執行に務めたため、当初の見込み額と執行額に差額が生じたが、研究計画に大きな変更はなく当初の予定通 りに研究を遂行し、適切な研究費の使用に務める。
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Research Products
(4 results)