2021 Fiscal Year Research-status Report
下行性抑制系のセロトニン経路に対するガバペンチンの作用の解明
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19K18265
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳村 春江 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80814897)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガバペンチン / セロトニン / 下行性疼痛抑制系 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害による痛みを生じているモデルラットにガバペンチンを投与すると、機械的刺激に対する逃避閾値が改善し、セロトニン受容体拮抗薬をくも膜下腔に投与すると、その閾値が再度悪化することが既に確認できている。そのため、セロトニンが存在していない状態でのガバペンチンの効果を調べるために、モデルラットにセロトニン合成を阻害する薬剤(パラクロロフェニルアラニン:PCPA)を投与し、セロトニンが枯渇した状態を作った。そこにガバペンチンを投与し、痛みの閾値を調べる行動実験を行った。セロトニン枯渇状態においても、神経障害性モデルラットは痛みの閾値が低下し、ガバペンチンを投与すると痛みの閾値が改善した。セロトニン枯渇状態において、神経障害性モデルラットにガバペンチンを投与し、その後くも膜下腔にセロトニン受容体拮抗薬を投与した時の痛みの閾値の変化を調べる行動実験を行った。ガバペンチン投与により改善した痛みの閾値が、セロトニン受容体拮抗薬の投与で悪化するという変化は認められなかった。ガバペンチンの作用にはノルアドレナリンが関与していることが多数報告されているため、DSP-4 (N-(2-Chloroethyl)-N-ethyl-2-bromobenzylamine hydrochloride)を用いてノルアドレナリンを枯渇状態にしたモデルラットで同様の行動実験を実施したところ、ガバペンチン投与による痛みの閾値の改善は認めなかった。以上のことから,ガバペンチンの脊髄における鎮痛効果へのセロトニンの関与はかなり限定的である可能性が示唆された。 脊髄におけるセロトニンの変化について組織学的検討を行った。脊髄後角のセロトニン染色を行い、コントロールのラットと、ガバペンチンを投与したラット、神経障害性モデルラットとそれにガバペンチンを投与したラットについて現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動実験に使用する機器の故障で、修理期間中実験が出来ない状態が発生したため。 新型コロナウイルス感染拡大の影響による人員不足のため、臨床業務に時間を取られ、本研究課題を進める為の時間を想定より減らさざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色した標本の解析を進め、必要な追加実験を検討しながら結果を論文にまとめる方針である。
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Causes of Carryover |
行動実験しに使用していた機器の故障のため、一時実験を中断せざるを得ない状況になったことと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究に従事できる時間が減少したため、実験計画に遅れが生じた。 今後、ラット購入や、免疫染色にもちいる物品の購入、論文校正のための費用に使用する予定である。
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