2023 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血による対麻痺のモニター法と遅発性麻痺への新しい管理法の開発
Project/Area Number |
19K18269
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川島 信吾 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10467251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊椎灌流 / MEP |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腹部大動脈瘤術後の対麻痺の発生率は今だに3-16%と高頻度である。対麻痺が発生した場合にはADLの著しい低下だけでなく生命予後が悪化する。近年運動誘発電位(MEP)を脊髄虚血のモニターとしながら手術するのが主流であるが、MEPは偽陽性も多く、全身麻酔下しか使用できない。さらに術中のMEPでは近年増加傾向にある遅発性対麻痺の早期発見や予測ができない。近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy:以下NIRS)は非侵襲的に組織酸素化が測定できるため、脳梗塞予防のモニターとして脳の酸素化を心臓手術を中心に使用するのが一般的になっている。実際に脊髄虚血時にはNIRS、MEP、レーザードップラー血流計(LDF)がどのように変化するか、様々な文節での虚血に対してどのレベルでのNIRSがどう変化するかを明らかにする。運動誘発電位(MEP)限界として脊髄虚血モニターとしてMEPが推奨されている。手術中に大動脈を遮断しMEP振幅の変化を見ることで、再建すべき分節血管の存在を判断することもできる。しかしMEPは偽陽性が多く、その影響因子として麻酔薬、体温、部分体外循環、術前脳・脊髄機能障害、記録部位、手術時間、肥満などがあげられる。また、覚醒後の患者のモニターには使用できないため、術後の脊髄灌流の低下を察知することができないため遅発性の対麻痺の対応がどうしても遅れてしまうことが問題である。遅発性対麻痺は遅発性の運動細胞死がその原因と考えられているがこの病態には治療可能な時間(therapeutic time window)があるとの指摘もありCSFドレナージや血圧や酸素供給の適正化が有用との報告がある。つまり、術後の脊髄の酸素化状態のモニターがあれば合併症の早期発見と治療介入を可能にすることができる。この有用性として食道MEPを使用して有用性を検証した。
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