GABAA受容体α5サブユニット選択的阻害薬が術後の認知機能と疼痛に及ぼす影響

2023 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K18272
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 井浦 晃 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40467551)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: GABAA受容体 / α5サブユニット / tonic電流

Outline of Annual Research Achievements

研究実施計画書に基づき、GABAA受容体α5サブユニット選択的阻害薬であるL－655708が全身麻酔後のマウスの術後記憶及び疼痛に及ぼす影響を調べた。
行動実験：前年度と同様に、マウスの足底皮膚を切開して術後疼痛モデルを作成し、L－655708の効果を調べた。術後鎮痛薬としてブプレノルフィン2mg/kgの皮下投与1回/日を行い、L-655708を投与するL群と、対照として生理食塩水を投与するN群の2群に無作為に分けて観察した。L群はL-655708（0.7mg/kg）の腹腔内投与を1回/日の投与量で継続し、N群は生理食塩水を同量、同回数投与して、L－655708が鎮痛効果に及ぼす影響を調べた。Incapacitanceテストで下肢への体重の荷重の測定およびマウスが患肢をなめる動作回数の測定を行った。また、記憶力の評価テストとして、麻酔薬暴露24時間後・48時間後・72時間後にバーンズ迷路試験及び物体再認試験を行った。
電気生理学的実験：8週齢のマウスの椎弓切除を行い、摘出した脊髄を用いて、500μmの厚さの脊髄スライスを作成した。これを人工脳脊髄液（ACSF）で潅流した状態で、脊髄後角SG細胞に対してホールセルパッチクランプを行った。0mVで電位固定し、電位依存性Naチャネル及びグリシン受容体の影響を除外する目的で、潅流液中にテトロドトキシン（0.5μM）及びストリキニン（2μM）を加え、GABAA受容体介在性抑制性電流を記録した。ベースラインの記録を行った後、潅流液にL-655708（50nM）を加え、電流の変化を観察した。その後、GABAA受容体の非選択的阻害薬であるbicuculline（20μM）を投与してすべてのtonic電流をブロックし、電流を記録した。