2019 Fiscal Year Research-status Report
パクリタキセルによる神経障害性疼痛に対する抑肝散の鎮痛効果の検討
Project/Area Number |
19K18275
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 貴大 広島大学, 病院(医), 助教 (10432668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / パクリタキセル / 抑肝散 / 牛車腎気丸 / 抗アロディニア効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はパクリタキセルを投与することで発症させた神経障害性疼痛が、漢方薬である抑肝散や牛車腎気丸の経口投与で抑制できるかどうかを検討している。また抑制可能な場合は、その効果発現部位がどこかを検討する予定である。本年度は、プロトコールに従ってパクリタキセル(2mg/kg)を1・3・5・7・9日目に腹腔内投与し、パクリタキセル投与前・投与後7日目・14日目・21日目・28日目にDynamic Plantar testで疼痛閾値の変化を検証し、行動学的に神経障害性疼痛が発症しているかどうかを検討した。その結果、パクリタキセル投与後7日目から有意な疼痛閾値の低下を認め、投与後28日目まで疼痛閾値の低下は持続した。つまり本プロトコールどおりにパクリタキセルを投与すると、神経障害性疼痛が発症すること、そして少なくとも3週間はその神経障害性疼痛が持続することが分かった。次に、パクリタキセルを投与すると同時に抑肝散(1g/kg)もしくは牛車腎気丸(1g/kg)を毎日経口投与し、抑肝散/牛車腎気丸投与前・投与後7日目・14日目・21日目・28日目にDynamic Plantar testで疼痛閾値の変化を検討した。その結果、抑肝散を投与した群は、投与後14日目と28日目に有意に疼痛閾値が高くなった。また、牛車腎気丸を投与した群も投与後14日目と28日目に有意に疼痛閾値が高くなった。つまり、抑肝散と牛車腎気丸はどちらも、パクリタキセルによる神経障害性疼痛に対し、抗アロディニア効果を有する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Dynamic Plantar test用の機械の故障などにより行動学的検証に時間がかかったため、抑肝散と牛車腎気丸が抗アロディニア効果を有する可能性が考えられたところまでしか進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
パクリタキセルを投与した動物に抑肝散を毎日経口投与し、抗アロディニア効果が認められたところで、脊髄を切り出して免疫染色を行い、ミクログリアやアストロサイトの活性が抑制されているかを検証する。また、パクリタキセルを投与した動物に抑肝散を毎日経口投与し、抗アロディニア効果が認められたところで、髄腔内にチューブを留置し、セロトニン受容体拮抗薬を髄注することで、疼痛閾値がどう変化するか検証する。
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Causes of Carryover |
本年度はDynamic Plantar test用の機械の故障などにより行動学的検証に時間がかかったため、抑肝散と牛車腎気丸が抗アロディニア効果を有する可能性が考えられたところまでしか進んでいない。そのため、使用予定の額まで達しなかった。今年度は、神経障害性疼痛が認められた実験動物ならびに、抑肝散や牛車腎気丸を投与し抗アロディニア効果が認められた実験動物の脊髄を抽出し免疫染色を行う予定としているため、その試薬等に使用する予定としている。
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