2022 Fiscal Year Annual Research Report
パクリタキセルによる神経障害性疼痛に対する抑肝散の鎮痛効果の検討
Project/Area Number |
19K18275
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 貴大 広島大学, 病院(医), 助教 (10432668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抑肝散 / パクリタキセル / 神経障害性疼痛 / 鎮痛効果 / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はパクリタキセル誘発性神経障害性疼痛に対する抑肝散の鎮痛効果並びに効果発現部位の検討を目的としている。 ①SDラットにパクリタキセルを投与し作製したパクリタキセル誘発性神経障害性疼痛モデルラット(PTXラット)に抑肝散を継続経口投与し、その鎮痛効果の経時的推移を行動学的に評価した(抑肝散を投与した群:Y群、蒸留水を投与した群:P群)。結果、Y群はP群と比較して有意な鎮痛効果を認めた。 ②抑肝散を継続経口投与したPTXラットに全身麻酔を施行し、パラホルムアルデヒドで固定した脊髄を切り出して免疫染色を行い、ミクログリア活性状態を確認した。結果、Y群はP群と比較して有意に活性化ミクログリアの発現量が低下していた。 ③抑肝散を継続経口投与したPTXラットにセロトニン(5-HT)合成阻害薬(4-Chloro-DL-phenylalanine methyl ester hydrochloride:PCPA)を腹腔内投与した。結果、PCPA投与群は非投与群と比較して有意に疼痛閾値が低下した。 ④抑肝散を継続経口投与したPTXラットの髄腔内に3つの5-HT受容体拮抗薬(WAY-100635:5-HT1A受容体拮抗薬、Ketanserin:5-HT2A/2C受容体拮抗薬、Ondansetron:5-HT3受容体拮抗薬)を投与した。結果、WAY-100635とKetanserinを投与した群でControlであるDMSOを投与した群と比較して有意に疼痛閾値の低下が認められた。 以上から、抑肝散の継続投与はパクリタキセル誘発性神経障害性疼痛に対し鎮痛効果を有する可能性があり、抑肝散の鎮痛効果の発現には脊髄のセロトニンの関与が推察された。
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