2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の術後神経・認知機能低下に及ぼす骨格筋量・マイオカインの影響
Project/Area Number |
19K18276
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 千晶 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70825877)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 術後神経・認知機能障害 / 高齢者 / マイオカイン / 骨格筋量 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔を受ける高齢患者の術後合併症の1つに、術後神経・認知機能障害がある。高齢化が進む現代では全身麻酔下での手術を受ける患者年齢も上がっており、その予防が重要な課題となっている。 術後神経・認知機能障害の原因の1つに脳内炎症が考えられている。炎症性サイトカインは人体の様々な内分泌器官から分泌されるが、体重の約40-50%を占める骨格筋も生理活性因子(マイオカイン)を分泌することが分かっている。本研究では、術後神経・認知機能障害の発症とマイオカイン分泌量の関係、および骨格筋量の関係について臨床的見地から検討することを目的としている。 予備研究として、75歳以上の予定手術を受けた患者を対象に術後せん妄(postoperative delirium:POD)あり群となし群の2群に振り分け、2群間で術前術後のマイオカイン分泌量及び骨格筋量の関係について検討した。測定するマイオカインは患者血清中のIL-6、IL-10、IL-1β、TNF-α、BDNF、IGF-1、Irisinとし、神経・認知機能の評価にはConfusion Assessment Methodを使用した。観察期間は術後14日目までとし、マイオカインは術前、術後1日目、3日目、7日目、14日目に測定し、骨格筋量は術前、術後7日目、14日目に測定した。PODあり群となし群でいずれの測定ポイントにおいてもマイオカイン分泌量に有意差は認めなかった。また骨格筋量に関しても2群間で有意差はなかった。 現在は、引き続き対象患者を75歳以上の予定手術を受ける患者とし、術後神経・認知機能障害の発症とマイオカイン分泌量および骨格筋量の関係について検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度から2022年度の大半が産前産後休暇・育児休暇取得のため研究中断した。そのため十分な症例数が集められず、当初の予定よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究ではPODの発症数が想定よりも少なく、PODあり群となし群で評価項目を比較するためにはかなりの症例数が必要であることが分かった。今後は対象患者を拡大させ症例数を増やし、PODの有無とマイオカイン分泌量および骨格筋量の関係について検討する予定である。測定するマイオカインの種類に関しても現在の項目に加え新規項目を検討中である。
|
Causes of Carryover |
2022年度も産前産後休暇・育児休暇取得により研究中断したため、予定していたマイオカインの測定を次年度に実施することとなり、次年度使用額が生じた。中断前の計画通り、物品費や炎症性サイトカインの測定費などに使用する予定である。
|