2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new infusion control strategy in perioperative period focusing on aquaporin
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19K18277
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
濱田 耕介 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20806799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクアポリン / 脳浮腫 / 周術期管理 / 五苓散 / 麻酔薬 / 頭部外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにわたしは先行研究として、ラットのアストロサイト培養細胞株を用いてDEX投与によるアクアポリン4(AQP4)タンパク質発現量の増加を経時的に確認した。その結果、AQP4タンパク質発現量はデキサメサゾン(DEX)投与2時間後にピークを持つことを見出した。さらに同細胞株を用いて低浸透圧暴露条件下での細胞の膨化が、DEX投与によって増加することを示した。 本研究では、五苓散によるAQP4阻害作用の機序を明らかにするために、ラットのアストロサイト培養細胞株に五苓散を投与し、五苓散投与群と非投与群でのAQP4タンパク質の発現量を定量比較し、さらに低浸透圧暴露条件下の細胞の形態変化を五苓散投与群と非投与群で比較した。これらの結果から、阻害作用の機序が発現量の変化によるものではなく、機能の阻害であると推定した。さらに五苓散の構成生薬である蒼朮、猪苓を同様に細胞に投与し、細胞の膨化を比較検討した。 それと同様に 吸入麻酔薬のAQP4への影響を明らかにするために、アストロサイト培養細胞株に吸入麻酔薬を投与し、投与群、非投与群でのAQP4タンパク質の発現量を定量比較し、さらに低浸透圧暴露条件下の細胞の形態変化を吸入麻酔薬投与群と非投与群で比較した。 これらの研究をふまえて引き続き当該年度はin vivoでの研究を進め、ラットの頭部外傷性モデルを作成し、五苓散投与により外傷性脳浮腫が軽減できるかどうかを検討した。 これらの研究により、AQPがどのように浮腫に関与しているのかが明らかになり、実際の患者に対してAQPの発現量、機能を調整する薬剤を投与することでの周術期の浮腫予防への道が開けると考えられる。また、AQPに着目して体液のシフトを制御するという新たな治療概念を築き上げることとなるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において、アストロサイト培養細胞において、五苓散および吸入麻酔薬と細胞膨化についての関係が明らかになりAQP4への影響が推定することができた。また、in vivoにおいてラットにおける頭部外傷性脳浮腫に対する五苓散の効果を検討しできた。これまでの経過は比較的順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
五苓散とアクアポリンの関係性について、これまでの研究を論文にまとめ、発表予定である。また、麻酔薬とアクアポリンについて今後も追加実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
covit-19感染流行のため、各学会が中止や延期となったことで研究内容の発表の機会が減ったため、次年度使用額が生じた。次年度は研究の継続に加え、今年度十分に行えなかった学会での報告や論文作成を予定している。
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