2020 Fiscal Year Research-status Report
TRPチャネルへの麻酔薬の作用機序解明を通して,新たな脳浮腫治療を探る
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19K18281
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 奈々惠 東京医科大学, 医学部, 助教 (00630550)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 麻酔薬 / 脳浮腫 / TRPV4 / RN1734 / 虚血 / 低張液 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者の急変で蘇生が必要になることは時としてある。虚血時の脳浮腫の詳細な形成機序は解明されていない。今回、様々な刺激で活性化される感知チャネルであるtransient receptor potential channel(TRPチャネル)に焦点をあて、虚血性脳浮腫時TRPチャネルがどう関与しているかの一端を解明することを目的とした。 C57BLマウスの雄を用い、大脳皮質側頭部と海馬CA1領域のニューロン、アストロサイトおよび細胞間隙の変形をそれぞれ、各種蛍光染色し、計測した。それを虚血ASCF(O2-free; glucose-free) に15分間暴露させ、TRPチャネルを広範囲に抑制するLaCl3とTRPV4阻害薬RN1734 の作用、Acetazoramide、各種麻酔薬の作用を検討した。エネルギーがある低張液環境では、アストロサイトは腫脹しても、元のサイズに戻ろうとする回復傾向がみえた。虚血時のストレスにより、ニューロンは大きなCa2+上昇が認められた。虚血時には、周囲組織に圧迫され、ニューロンは収縮している様子が観察された。低張液時には、ニューロンは反対に腫脹する。麻酔薬は、虚血環境時にはイソフルラン、ペントバルビタール、プロポフォール、デスフルランともに、ニューロンに対して、コントロール群より、細胞を収縮させる傾向にあった。Acetazoramide1μMの低用量では、脳血管拡張作用により、細胞間隙の水分がうまく排出されることによる脳保護が推測された。TRPV4については、虚血時の細胞膜伸展がスイッチとなり、様々な脳へのダメージを与えることが報告されている。機序の詳細は明らかではない。今回の実験から、TRPV4ブロッカーであるRN1734は、細胞間隙の水分貯留を制御することで、虚血時に脳保護的に働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床の合間、時間をみつけてコンスタントにデータを取る努力は欠かさないため。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血時の細胞間隙の水分制御が、脳保護と密接にかかわっていることが示唆された。さらに詳しい機序を解明してゆく。
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Causes of Carryover |
コロナ時期でもあり、実験を行う順番を入れ替えたため
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