2019 Fiscal Year Research-status Report
周術期アナフィラキシーの診断精度向上と発生機序解明:好塩基球活性化試験を用いて
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19K18286
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
折原 雅紀 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (10795272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 周術期管理学 / 周術期アナフィラキシー / 好塩基球活性化試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、周術期にアナフィラキシー症状が出現した患者に好塩基球活性化試験(BAT: basophil activation test)を行い、その有用性について報告してきた。本研究では、①BAT用に採取した血液検体の保管時間や温度が結果に与える影響、②周術期アナフィラキシーの発生メカニズムを調べる。この研究により、BATに用いる検体の取り扱い方法を最適化できるため、診断精度の向上が期待できる。さらに、アナフィラキシーの発症プロセスにおけるIgE関与の有無を調べることで、特異的IgE抗体測定による原因薬同定の可否が判明する。 BATや特異的IgE抗体測定といった、in vitroの検査の診断精度を高めることで、患者を危険に曝すことなくアナフィラキシーの原因薬同定が可能となるため、研究の意義は大きい。 ①健常人ボランティアから血液を15ml採取し、3つの試験管に分注する。それぞれの試験管を4、24、37℃で保管し、採血直後と2、4、8、24時間後にBATを行う。陽性コントロール(抗IgE抗体)による好塩基球活性化率を検体の保管時間と温度ごとに比較する。 ②アナフィラキシー患者の血液でBATを行う際に、IgEを介する反応を選択的に抑制する効果のあるwortmanninを試験管内に加え、好塩基球の活性化が抑制されるかどうかを調べる。wortmanninを加えないものと比べて好塩基球の活性化が抑制されれば、その原因薬剤はIgE介在性と考えられる。 本研究のプロトコールは当院の人を対象とする医学系研究倫理審査委員会で承認されている(承認番号 HS2017-264, HS2019-064)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間で、①BAT用に採取した血液検体の保管時間や温度が結果に与える影響についての研究ではボランティア20症例程度、②周術期アナフィラキシーの発生メカニズムについての研究では周術期アナフィラキシー患者20症例程度の検査を予定した。実際には、この1年間でボランティア11症例、患者約20症例についてBATを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の計画に沿って研究を推進し、被験者が規定数に達したら、①BAT用に採取した血液検体の保管時間や温度が結果に与える影響については、two-way repeated measure ANOVAにより解析を行う。 アナフィラキシー症例が計画通りに集まらない場合は、協力病院における過去の症例を報告するよう促すと共に、新規症例について報告してもらう。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの支出であったが、少額ながら次年度使用額が生じた。
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