2020 Fiscal Year Research-status Report
脊髄前角運動ニューロンにおける麻酔薬の作用と、虚血神経保護作用の有無と作用機序
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19K18289
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 知裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70596543)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄前角運動ニューロン / 麻酔薬の作用機序 / 麻酔薬の虚血神経保護作用 / 幼弱ラットin vitro脊髄スライス / ホールセルパッチクランプ記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まずは、現在一般的に臨床使用されている揮発性吸入麻酔薬であるセボフルランやデスフルラン、吸入麻酔薬である亜酸化窒素(笑気)の脊髄前角運動ニューロンにおける作用を電気生理学的手法により検討する。その後さらに、その研究結果を踏まえて、これらの吸入麻酔薬やキセノンが脊髄前角運動ニューロンにおいて虚血神経保護作用を有するかについても検討する。幼弱ラットin vitro脊髄スライスを用いて脊髄前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行い、セボフルランやデスフルラン、亜酸化窒素の脊髄前角運動ニューロンにおけるシナプス伝達機構に対する作用を調べる。また、同様に脊髄 前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行い、セボフルランやデスフルラン、亜酸化窒素やキセノンの脊髄前角運動ニューロンにおける虚血神経保護作用の有無とそのメカニズムを明らかにする。 幼弱ラットin vitro脊髄スライスを用いて脊髄前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行うため、脊髄スライス標本を乗せる記録用チャンバー、人工脳脊髄液や薬物を脊髄スライス標本へ投与するための灌流システム、脊髄前角に存在する運動ニューロンをテレビモニター下で観察・同定するための近赤外線システムを装備した顕微鏡、微小電極を誘導するためのマイクロマニピュレーター、ホールセル・パッチクランプ記録から得られた電気信号を増幅するためのパッチクランプ用増幅器などを備えた実験系システムを立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
赤外線システムを装備した顕微鏡を含めた必要備品を購入し、幼弱ラットin vitro脊髄スライスを用いて脊髄前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行う実験系システムを新たに立ち上げた。立ち上げた実験系システムを用いて、実際に脊髄スライスからパッチクランプ記録ができることの確認作業を行っている最中ではある。本研究では、対象が幼弱ラットであることがLimitationの一つであると懸念されるが、新しく立ち上げた実験系システムを用いることにより、成熟マウスから取り出した脊髄スライスでも脊髄運動ニューロンが同定できそうな兆しが見えてきてはいるが、コロナ肺炎の影響により基礎実験にあてることができるエフォートが著しく制限されており、当初の計画通りには実験が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
幼弱ラットin vitro脊髄スライスを用いて脊髄前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行い、まずは、現在一般的に臨床使用されている揮発 性吸入麻酔薬であるセボフルランやデスフルラン、吸入麻酔薬である亜酸化窒素(笑気)の脊髄前角運動ニューロンにおける作用を電気生理学的手法により検討 する。その後さらに、その研究結果を踏まえて、これらの吸入麻酔薬やキセノンが脊髄前角運動ニューロンにおいて虚血神経保護作用を有するかについても検討 する。
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Causes of Carryover |
前年度は幼弱ラットin vitro脊髄スライスを用いて脊髄前角運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行うため、脊髄スライス標本を乗せる記録用チャンバー、人工脳脊髄液や薬物を脊髄スライス標本へ投与するための灌流システム、脊髄前角に存在する運動ニューロンをテレビモニター下で観察・同定するための近赤外線システムを装備した顕微鏡、微小電極を誘導するためのマイクロマニピュレーター、ホールセル・パッチクランプ記録から得られた電気信号を増幅するためのパッチクランプ用増幅器などを備えた実験系システムを立ち上げた。加えて、脊髄前角運動ニューロンに対する吸入麻酔薬(セボフルラン、デスフルラン)の作用機序を解明するため、デスフルラン気化器を購入した。 次年度はAMPAやNMDAなどの実験薬剤や、実験の進行に伴い新たに必要となった機材、薬剤などの購入が必要と考えられる。
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