2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K18291
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小西 裕子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60771970)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セボフルラン / 大腸がん細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は周術期に使用する麻酔薬の大腸がん細胞への影響について、まだ知られていない作用機序を明らかにするため増殖解析や生化学的な検討を行った。がん原遺伝子K-rasは変異を生じることによって、消化器がんをはじめ多くのがんの増殖に寄与することが分かっている。そこで変異の種類によって麻酔薬暴露後の影響の違いを調べるため、これらの野生型と代表的な2種類のKRAS変異をもつ大腸がん細胞株を用いて解析した。これまでに研究者は細胞数の変化、軟寒天培地での増殖能、単層培養でのコロニー形成能、免疫不全マウスへの移植による腫瘍のサイズの変化など、それぞれの表現型の違いを解析した。また、着目した遺伝子K-ras遺伝子発現量をリアルタイムPCRで解析し、その発現量の変化を比較した。さらに野生型KRASを始め、変異KRASの及ぼす下流域の増殖シグナルを明らかにするため、MAPKやPI3Kなどのリン酸化活性をウェスタンブロッティングや、リン酸化増殖因子のパネル検査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに研究者は計画した単層培養によるコロニー増殖能や、軟寒天培地中でも増殖を高めたことを確認を行った。そこでこの増殖の原因の一端を探るため、PI3K-AKT経路のリン酸化活性やMEK・ERK活性について、それぞれの阻害剤をもちいて検討を行った。さらに麻酔薬後の網羅的なタンパク質リン酸化パネル検査を行うなど計画的に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにCRISPR-cas9によるノックインは本研究で用いた細胞株では極端な増殖能の低下を引き起こした。恐らくオフターゲットによって増殖能力の低下が生じたと考えられる。そこでsiRNAによるK-ras遺伝子のノックダウンを実施し、その解析に取り組んでいる。
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