2022 Fiscal Year Annual Research Report
血小板機能温存を重視した新たな希釈式自己血輸血法の確立
Project/Area Number |
19K18293
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 修司 京都大学, 医学研究科, 助教 (80766668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希釈式自己血輸血 / 血小板 / 血小板機能 / 低温保存 / 血小板第4因子 / β-トロンボグロブリン / 血小板保存病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】大量出血のリスクを伴う手術においては希釈式自己血輸血の使用が推奨されている。しかし、希釈式自己血輸血を施行する際の最適な自己血保存温度についてはいまだ不明である。濃厚血小板製剤は原則室温保管されているが、近年、出血に対する冷蔵保存血小板の有用性が報告され、米国では出血患者への冷蔵保存血小板の使用が承認された。そこで我々は希釈式自己血輸血を想定した短時間全血保存において、冷蔵保存と室温保存が全血の血小板機能に及ぼす影響を比較検討した。 【方法】本研究は当施設の倫理委員会の承認後に実施した(認定番号R0978-1)。文書で同意を得た健常者から全血を採血し、保存前(Pre)、6時間冷蔵保存後(C)、6時間室温保存(R)の3群に分けた。各検体群の血小板凝集率、血算、トロンボエラストグラフィー(TEG)パラメータ、保存における血小板劣化を示す血小板保存病変(PSL)マーカーとして血小板第4因子(PF4)、β-TG、P-セレクチン、乳酸値を測定した。6時間保存に伴う変化を検討するため、Pre群を基準としたC群およびR群の変化率(保存後/保存前×100(%))をWilcoxon testを用いて比較した。検出力0.8、有意水準0.05としてパワー解析を行い、6~7人の被検者が必要と考えられた。P<0.05を有意差ありとした。 【結果】文書で同意を得た健常者7名から全血採血した。C群はR群に比べ、アデノシン二リン酸(ADP)またはコラーゲン1 μg/ml刺激下の血小板凝集率が有意に高く、PSLマーカーであるPF4、β-TG、乳酸値が有意に低かった。 【結論】全血の6時間冷蔵保存は室温保存に比べて高い血小板凝集能を示し、PSLマーカーの上昇を抑制した。希釈式自己血輸血で自己全血を冷蔵保存すると、室温保存に比べ血小板にとっての保存環境が向上し、止血力向上に寄与できる可能性がある。
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Research Products
(11 results)