2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of Oxidative Stress and Glutamate via xCT in Cognitive and Psychiatric Disorders after Intensive Care
Project/Area Number |
19K18296
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北川 良憲 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (40595154)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敗血症 / 認知・精神障害 / xCT / グルタミン酸 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
post intensive care syndrome(PICS)とは,重症患者において集中治療室在室中あるいは退院後に生じる精神機能障害,認知機能障害,身体障害の総称であり,長期予後に影響を与える病態である。敗血症による呼吸不全や腎不全といった諸臓器の障害には,過剰な酸化ストレス応答が関与しており,PICSの発症についても同様の機序が関与している可能性が考えられるが,その成因や進展機構の解明は未だ不十分であった。また,うつ病や統合失調症など多くの精神疾患の発症に脳内でのグルタミン酸の制御異常やミクログリアの機能異常が関連している可能性が指摘されているものの,PICSの病態における脳内グルタミン酸の挙動については知見が乏しかった。これらの点を解明するために,本研究ではグルタミン酸の細胞外輸送に関与する多選択性アミノ酸トランスポーターの一つであるxc-系(System xc-)と,その特異的な構成分子であり酸化ストレスによって誘導されるCystine/Glutamate transporter(xCT)に注目して検討した。 リポポリサッカライド(LPS)の腹腔内投与によりマウス敗血症モデルを作成し,行動学実験としてロータロッド試験(運動機能,運動記憶),自発運動試験用回転ケージを用いた自発運動試験(wheel running activity:WRA),Y字迷路試験(短期記憶),体重変化の経時変化を追跡して,敗血症後の精神症状・運動症状の評価を行った。その結果,LPSの投与を行った群では,Y字迷路試験,WRAおよびロータロッド試験のスコアが有意に悪化した。また,脳内のグルタミン酸の濃度は,LPS群で有意に上昇していた。また,これらの現象は,xCTのノックアウトマウスおよびLPSとともにxCT阻害薬を投与した群では抑制された。また,海馬から単離したミクログリアではLPSの刺激によりxCTの発現が有意に増加し,グルタミン酸の放出量が増加していた。また,免疫組織化学的検討でもLPS刺激によるミクログリアの活性化を認めた。
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Research Products
(4 results)