2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K18297
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 浩佐 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50624409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高ヒスチジン糖タンパク / HRG / バイオマーカー / 術後合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、高ヒスチジン糖タンパクHistidine-Rich Glycoprotein (HRG)に注目している。本研究では、大きな侵襲があった際のHRG値の変動を追及している。すなわち、さまざまな手術を受ける患者を対象とし、HRG値の周術期における変動を調べることが目的である。 当初の研究計画では、令和元年度前半で臨床研究の準備段階を終えて研究を開始し、後半で実際に患者検体の収集を開始する予定であったが、HRGの自家製ELISA測定系に問題が生じ1年間かけてその改良を行うこととなり、臨床研究開始は令和二年度に持ち越しとなっていた。新たな計画では、令和二年度には、第1四半期:研究計画書の詳細確定。第2、3四半期:患者登録開始、検体採取。第3、4四半期:HRG値測定、データ確定、解析、結果考察。を行うこととしていた。 その予定にそって研究を進め、臨床研究計画書を策定し、令和2年8月14日付で岡山大学病院倫理委員会の承認を得た(承認番号:研2007-006)。令和2年9月より岡山大学病院での臨床研究を開始し、9月17日から11月11日の期間に患者163名から同意が得られ、最終的に150例分の血液検体を採取保存した。その後、主評価項目であるHRG値を測定するとともに、その他のデータ収集を行った。令和3年3月までにHRG値の測定は終了した。対象症例150例のうち、60例(40%)ではClavien-Dindo分類におけるGradeⅡ以上の術後合併症を生じていた。 今後、データ解析を進め、HRGと術後合併症の発生に主眼において、結果の考察を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、令和元年度前半で、研究プロトコルの作成、倫理委員会承認などを経て研究開始し、後半で実際に患者検体の収集を開始する予定であった。しかし、本研究開始後に、主評価項目であるHRG値の測定に関して大きな問題が生じた。具体的には、測定法として自家製ELISA法を用いているが、その肝であるQiagen社のNi-NTA HRP Conjugateという製品が生産中止となってしまい、令和元年夏には入手困難となった。代替品としてThermo社のHisProbeを用いたが、安定した測定が可能となるまでに改良を要し、令和元年度末に測定法の改訂が完了した。 令和2年度には、当初の計画よりもほぼ1年遅れる形で、臨床研究を進めた。令和2年8月14日付で岡山大学病院倫理委員会の承認が得られ(承認番号:研2007-006)、令和2年9月より岡山大学病院での臨床研究を開始した。9月17日から11月11日の期間に患者163名から同意が得られ、最終的に150例分の血液検体を採取保存した。その後、主評価項目であるHRG値を測定するとともに、その他のデータ収集を行った。令和3年3月までにHRG値の測定は終了した。データ解析を進め、結果の考察を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度中に、患者からの検体採取を終え、主評価項目であるHRG値の測定も終了した。令和3年度は、第1四半期でデータの確定と統計解析を進め、結果の考察を行っていく。第2、3四半期には、得られた結果について学会発表や論文作成、投稿を行い、令和3年度内での論文掲載を目指す。 また、研究推進のため、研究協力者や岡山大学麻酔科蘇生科の臨床研究コーディネータと適宜会議を行い、情報共有、方針の確認を行う。
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Causes of Carryover |
研究が、当初計画より遅れ、令和元年度分のデータベース作成・維持に関する費用が令和2年度に持ち越しとなっており、それがさらに令和3年度へと持ち越しになる。また、コロナ禍において、日本国内学会、国際学会がWEB開催や中止となったことで、情報収集のための学会参加は見合わせており、旅費が持ち越しになっている。 令和3年度には、データ確定のためにHRG以外の項目について測定や検査外注を行う予定である。また、学会発表のための旅費のほか、論文投稿のため専門家への統計解析の相談費用、英文校正など論文作成の費用に用いる計画である。
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