2019 Fiscal Year Research-status Report
Physiological monitoring to predict postoperative delirium
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19K18308
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
里元 麻衣子 東邦大学, 医学部, 講師 (10611551)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | せん妄 / 心電図 / 瞳孔計 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後せん妄の発症を予防する新たな方法を確立することを目的としている。術後せん妄は、入院期間や退院後の生活の質 (QOL) に大きく影響を及ぼす。申請者はこれまでの研究で、食道がんの予定手術患者の手術前夜の心電図計測によって、術後せん妄の予測が立てられる可能性を示した。加えて術後早期の脳波をBispectral Index (BIS) モニターから出力させ、術後せん妄になりつつある特徴的な周波数帯についても新たに見出した。今回は上記の予備的なデータを確実なものであるか再確認することをはじめに行った。 具体的には心臓手術患者の術前の心電図計測を行い、術後のせん妄発症の有無との相関を調べた。同時に近年瞳孔記録計により、瞳孔径から瞳孔の対光反射を測定し、客観的に数値化するポータブルな装置が開発されたが、術後回復室においてこの装置を使用した検討において、神経学的瞳孔指数とせん妄との間に高い相関が認められたとの報告がある(Yang et al. J Clin Monit Comput. 2018)。当院でも救急を中心に神経学的変化を知るために使用されている。そこで瞳孔記録計も使用し、術後のせん妄との相関を調べた。術後せん妄が発症した患者では心拍変動ゆらぎの指標のうち高周波数成分 (HF) が、非せん妄患者に比較して有意に減少しているという知見を得た。HFは副交感神経機能を反映するといわれている。術後せん妄患者では手術前日夜の安静時心拍変動のうち副交感神経の活動が低いということが考察された。瞳孔計は現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前行ったプレリミナリーな結果を実施し、同様の結果を得て再確認することができた。引き続き症例数を増やしていくと同時に、まとめた結果を国内外の学会発表および査読付き論文という形で公表していく。
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Strategy for Future Research Activity |
心電図でせん妄の予測が行えることが確認された。より簡便な方法やより確実な方法のため、複数の生理学的指標を用いたせん妄方程式の作成ができるよう、解析を増やしていく必要がある。また、術後せん妄にある程度有効性が認められている薬剤の有無によりせん妄の発症が減少する際に、生理学的変化でもとらえることが可能かどうか綿密な計画とモニタリングの元、研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
消耗品であるBIS電極を購入せずに、瞳孔計と心電図を中心とした解析にしたため、BIS電極代がかからなかったためと考えられる。次年度以降必要な消耗品購入にあてる予定である。
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