2023 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症時に亢進する血管透過性における個人差の原因となる遺伝子を同定する。
Project/Area Number |
19K18320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬尾 英哉 京都大学, 医学研究科, 助教 (40782652)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管透過性 / ICU-AW / 個体差 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、敗血症時に亢進する血管透過性の個体差を対象として研究を開始したが、安定的な実験系の構築ができなかったため、 敗血症により発症する、ICU-AWの個体差を対象とした研究に変更して研究を継続した。 結果、敗血症によるICU-AWの原因とされる筋特異的UPS活性化は個体によってばらつきが大きいことが判明し、血清IL-6との相関を認めなかった。そこで、筋特異的UPS活性化を高活性化群と低活性化群に分類し、発現する遺伝子を比較することにで個体差の原因となる遺伝子群を評価した。さらにPathway解析により病勢を左右する病態を絞り込み、プレリミナリーではあるが敗血症による予後を増悪させるメカニズムを絞り込むと同時に、予防法、治療法開発につながる貴重なデータを得ることができた。本研究結果は当初所定した、敗血症時における個人差を検索することで原因遺伝子の同定が可能であるとのコンセプトを示すものであった。今後は、詳細なメカニズムを解明するとともに因果関係を明らかにし、ICU-AWにどのような影響を与えるかについて検証する必要がある。 これまで、個体によるばらつきが少なくなる条件に限定して実験を行っていた。この”ばらつき”にこそ病態を解明するうえでの重要な情報が隠されており、病勢の個体差利用した本研究手法は病態野探索のみならず、臨床的に介入可能な予防法、治療法を提示できることを示しており、停滞する敗血症研究にとってブレイクスルーとなるであろう。
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