2019 Fiscal Year Research-status Report
コリン作動性抗炎症経路による神経免疫系を介した全身炎症の制御機序の解明
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19K18322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 庸博 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70747154)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コリン作動性抗炎症経路 / 全身炎症反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷、敗血症などの重度侵襲病態ではサイトカインを中心とした免疫-炎症反応による非特異的な全身生体反応が引き起こされ、多臓器障害をきたす。これまで炎症性メディエータを制御することによる病態改善を目的とした数多くの抗炎症治療が検討されてきたが現時点で転帰改善を証明した治療法は皆無に等しい。申請者は自立神経系が免疫炎症反応を制御するメカニズム:コリン作動性抗炎症経路に着目し研究を進めている。コリン作動性抗炎症経路の中心を担うα7nACh受容体は脾臓に多く存在し動物実験で実証されてきたが、ヒトでの研究は少なく、また、実臨床の重度侵襲病態を呈した患者におけるデータはほとんどない。予備検討では高度侵襲病態(敗血症、心停止後症候群、重症外傷など)にある患者の血液中の免疫細胞をフローサイトメトリー法で解析したところ、健常対照群と比較し単球上のα7nAch受容体の発現は、侵襲に応じて変化することが示唆されたが検証が不十分であり、α7nAch受容体を介して生じる抗炎症作用の機能面も解明されていない。本研究では敗血症、重症外傷患者のPBMCを用いて、in vitro実験により、同経路の機能およびα7nACh受容体発現について評価を行う。今年度はin vitro実験に用いる培地、細胞数、試薬の条件設定、最適なPBMC採取プロトコルの確立を行った。また、集中治療室において敗血症、外傷患者から臨床検体の採取を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro実験に用いる培地、細胞数、試薬の条件設定、最適なPBMC採取プロトコルの確立、などを終了させることができたため。今後、収集検体に対して細胞実験を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitro実験により、同経路の機能評価を行う。凍結保存したPBMCを融解し、12ウエルプレートに培養する。細胞の安定を確認した後に、LPS刺激を行い、6時間後に培養上清を採取する。上清中のケミカルメディエータ(IL-1β, IL-6, IL-10, TNF-α, INF-γ, MCP-1 など)をELISA 法で測定する。本実験により各症例の臨床経過と比較検討することで、LPSに対する刺激反応性を評価する。さらに、同様の実験を選択的α7Ach受容体拮抗薬を共投与した系で共に行い、コリン作動性抗炎症経路を阻害した状態でそれ以外での経路による炎症反応を評価する。
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Causes of Carryover |
実験に必要な検体が今年度中にすべて集まらなかったのでELISA測定試薬、フローサイトメトリー関連試薬を購入していないため、生じた次年度使用額はAssayを行う際に使用いたします。
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