2020 Fiscal Year Research-status Report
水素吸入は補助的治療手段になりうるか?ショックモデルを用いた検討
Project/Area Number |
19K18324
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤崎 宣友 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (90732644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水素 / 出血性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はラット出血性ショックモデルを用い、ショックに続発する臓器不全と、酸素吸入や水素吸入による影響を明らかにし、水素吸入の有効性や可能性を分子生物学的に探求することを目的にしている。①酸素吸入がショック患者の臓器障害を助長している可能性はないか、②水素吸入がショック患者において臓器保護効果を有し臓器不全を軽減するのか、③水素吸入が酸素毒性を軽減するのか(抗酸化作用など)について検討する。さらに将来的な水素吸入効果の客観的指標になる可能性を踏まえ、救急患者の血液を用いた酸化ストレス度、抗酸化力を測定し検証している。 昨年度から引き続き、出血性ショックモデルにおける酸素や水素の吸入時間等の変更を行い最適な条件の設定を進めている。さらにmRNAの抽出、精製を見直し、カラム法やその他安定化試薬の使用など工夫を行っている。抽出したmRNAを使用しquantitative RT-PCRにより発現量を測定するも、炎症性メディエーターや抗炎症性メディエーターなどにおいて優位な差は得られていない。検体採取ポイントを新たに設定し直す、またはタンパク発現を検討する必要があると思われる。 臨床研究は進行しているが、COVID-19の影響により予定していた検体数が確保できていないため、期間延長を検討し検体確保を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初期条件で検討を進めるも、期待していた結果が得られず再検討や条件設定の見直しを行う必要が生じた。しかしながら、有意差はないものの分子生物学評価、病理学的評価では水素の有用性を示唆する傾向がみられたため、タンパクの発現量などで評価を行うことを想定している。 COVID-19診療の影響により、予定していた臨床検体の確保が困難であったこと、また予定していた研究時間の確保が困難となったり、研究施設の閉鎖もあったため研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
水素の有用性をさらに探究するため、肺組織におけるタンパクの局在を確認するため免疫染色を行い酸化ストレスの影響を検討していきたい。また抗酸化タンパク質の発現調節を担っているNrf2-ARE経路に関し、シグナル伝達を検索して関連を調査していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 参加予定であった海外学会や国内学会が中止となり余剰資金が生じた。その他予算で計画と大きな齟齬はないと思われる。 (予定) 当初の計画通り、実験を遂行していく予定である。
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