2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18326
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲川 嵩紘 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (30773783)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | S. aureus / MRSA / MSSA / DNAシークエンス / DNA解析 / 病原因子 / ICU / Molecular type |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの様々な報告や論文から、S. aureusの保有する病原因子は、遺伝子タイプ毎に規定されることが知られており、肺炎とS. aureusの関連性を調べることにおいて、本邦に存在するS. aureusの遺伝子タイプの割合と、肺炎の原因菌となったS. aureusの遺伝子タイプを比較することで、肺炎を比較的引き起こしやすい遺伝子タイプのS. aureusを同定する方針とした。ただ、現在の本邦に優位に存在する、S. aureusの遺伝子タイプの疫学的研究がほとんどなく、まずBaseとなるS. aureusの疫学的検討を行った。 そのため、広島大学病院のICUに入院している患者の鼻腔ぬぐい液から分離された菌の全ゲノム配列データと臨床データを用いて、黄色ブドウ球菌の分子疫学研究を実施した。ICU に入院した患者におけるMRSAとMSSAの鼻腔保菌率は、それぞれ7.0%と20.1% だった。CA-MRSA の保菌率は2.3%で、全 MRSA分離株の32.8%を占めた。MRSA 分離株の全ゲノム配列解析により、CA-MRSAおよびHA-MRSAの多数がCC8, ST8および SCCmec IV型に属していた。 続いて、重症化に関連する病原因子を同定するため、肺炎、皮膚軟部組織感染症、深部膿瘍などの病巣や菌血症、ARDS、DIC、敗血症性ショックの病態と病原因子の関連性を評価した。MRSA/J および MSSA/J は深部膿瘍感染と、ST764 は肺炎、菌血症、にARDSに関連している可能性が示唆された。また、tst-1陽性分離株はDICの原因となる可能性があることが示唆された。
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