2023 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症における免疫不全の原因は制御性B細胞か?: PD-L1発現との関連
Project/Area Number |
19K18327
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松本 紘典 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (70772531)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、感染に対する宿主生体反応の調節不全に伴い生命を脅かす臓器障害と定義され、ICUでの死亡原因のトップを占め、重症敗血症の場合、死亡率は25-40%に至ると言われている。敗血症の病態は、感染に伴うサイトカイン等を介した過剰な免疫反応と考えられているのが一般的であるが、不明な点が多く、様々な議論が続いている。これまで起炎症性サイトカインを中心とした敗血症の病態解明、治療応用がなされてきたものの、死亡率改善に至らない現状である。近年、敗血症の病態の一つとして、免疫抑制状態が注目されるようになった。実際、敗血症患者は病原性の低い多剤耐性菌による感染が見られることが多く、敗血症における免疫抑制は長期予後の重要な要素であることが指摘されている。これまで当教室では、盲腸結紮穿孔(CLP)マウスを用いた腹膜炎敗血症モデルでの病態解明、治療評価の研究を行ってきた。そして、敗血症に伴う免疫担当細胞に注目し、敗血症モデルマウスにおいて、超急性期にB細胞が激減する一方、IL-10産生性制御性B細胞のみは残存して、PD-L1を発現することを見出した。また今回、敗血症病態においてIL-5KOマウスはWTマウスに比べ、凝固障害の悪化や腹腔内の細菌処理能が低下し、生存率低下に寄与していることを明らかにした。そして、腹腔内におけるIL-5産生に寄与している細胞がTh2とILC-2であることを同定した。しかし、敗血症病態におけるIL-5とPD-1、PD-L1の発現や腹腔内マクロファージの貪食能、サイトカイン産生などとの関連は見られなかった。
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