2022 Fiscal Year Annual Research Report
REBOA合併症根絶へのアプローチ:4D-CT perfusion解析
Project/Area Number |
19K18344
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松村 洋輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (00466707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | REBOA / Partial REBOA / organ perfusion / 臓器灌流 / 出血性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA)は,バルーンカテーテルによる大動脈遮断法である.中枢(心臓・脳)昇圧と同時に, 遠位臓器(腸管や肝臓など)低灌流を惹起する. 部分遮断(partial REBOA, P-REBOA)は完全遮断に比して虚血強度軽減が期待され, biomarker・血圧・血流などが評価されてきた.臓器灌流の定量評価は不十分で,脳や膵臓などの定量的臓器灌流評価で用いられる4D-CT perfusionの手法を応用した.本研究の目的は出血性ショックにおけるP-REBOAの遮断強度と臓器灌流を定量的に評価し,安全なREBOA管理を解明することである. 予備研究1でP-REBOAの遮断強度の定量的指標を設定した.遠位[大腿]動脈脈圧が消失するバルーン注入量(balloon volume, BV)を100%(完全遮断)とし, 完全遮断に対する割合(%BV, 0-100%)を遮断強度指標とした(Matsumura Y et al. Eur J Trauma Emerg Surg 2021;47:1023-9).予備研究2では非出血時の0-100%の遮断強度で4D-CTを撮影した.臓器灌流の指標として,肝実質・門脈[肝臓灌流]および上腸間膜静脈[腸管灌流]におけるtime-density curve (TDC, x秒後のCT値上昇y[HU])を解析した.TDCの曲線下面積(area under TDC, AUTDC; 臓器灌流定量指標)は,遮断強度が増加すると線形に減少した.非出血時にBVで臓器灌流が推定可能であった.大動脈・下大静脈の血流動態を可視化した4D volume rendering (VR)では,高遮断強度[80-100%]の際,静脈鬱滞が著明であり,静脈性出血が助長される可能性が示唆された(Matsumura Y et ala. Sci Rep. 2020; 10:5680). 続いて出血性ショックモデルを作成した.出血という侵襲が臓器潅流や血流動態に影響しうる.予備実験2に倣い4D-CT を撮影した.AUTDCは出血性ショックモデルでも%BVに従い線形に減少し,臓器潅流推定は再現された.4D-VRでは静脈鬱滞は目立たず,出血性ショック時は静脈性出血が問題となる場合も静脈鬱滞が軽微かもしれない.
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