2020 Fiscal Year Research-status Report
敗血症診療体制樹立~地域特性を活かした敗血症診療ネットワーク構築からの試み~
Project/Area Number |
19K18349
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 圭 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (40585171)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症 / 集中治療 / 地域ネットワーク / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は集中治療室の死因の第1位の病態であるが、近年、国際的ガイドラインの整備がすすみ机上では標準的な敗血症治療が展開できる準備が整いつつある。しかし現実に目を向けると、本邦では集中治療医は依然として不足しており、そもそも地域においては集中治療室の整備さえ十分とはいえない現状がある。従って、敗血症診療の質向上のためには、グローバルな視点にたったガイドラインだけではなく、地域での問題点を明らかとし、地域における敗血症診療体制を樹立することが急務であるといえる。 本研究は、集中治療領域における敗血症診療のネットワークを、地域特性を加味した上で樹立し、最終的に敗血症診療の質を向上させることを目的としている。初年度においては、SSCGなどのガイドラインに基づいた標準的とされる敗血症診療がどのように実施されているのか、さらには抗菌薬の適正使用を中心とした感染症診療が正しく実施されているかの疫学調査を実施した。研究者が代表的な施設に訪問(サイトビジット)することで、問題点を抽出した。予想通り、プライマリケアや地域の救急を担っている中・小規模病院では、敗血症の診断は行えてもこれに続く集中治療が十分に提供できていないことが明らかとなった。 研究の途中で、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態となり、人類史上最悪クラスのパンデミックとなった。全世界規模でのレジストリ研究がなされ、COVID-19の疫学情報は集積されつつあるものの、報告の質は玉石混合の状態にあり、各施設が見なし標準的とされる治療を、自施設に見合ったかたちで実施しているのが現状である。この現状を加味し、次年度では地域に見合ったCOVID-19治療を支援するための検討を行い、治療プロトコルを作成し、地域の施設に提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う業務の変更により、テーマであった地域での集中治療領域における敗血症診療ネットワークの枠組みに変化が生じ、研究自体もCOVID-19を意識したものに修正する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた情報から、敗血症診療に係る問題点が明らかになってきたが、これはそのままCOVID-19診療にも当てはまることが明らかとなった。COVID-19診療では、通常の敗血症診療に加えて、感染対策、重症呼吸不全、ECMO、といったさらに高度な診療が要求される。 この現状を踏まえて、今しばらく続いて行くであろうCOVID-19を地域としてどのように対応していくのか、具体的には各施設で応用可能な敗血症診療ガイドおよびCOVID-19特別版を策定し、ホームページで公開するなどし、世界規模での未曾有の災害といえるCOVID-19に対して、地域から発信できるツールを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、学会出張がオンラインに変更になるなど、旅費が予定していたよりも少なく済んだことによる。 (使用計画) 翌年度の物品費などとあわせて使用する。
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Research Products
(7 results)