2019 Fiscal Year Research-status Report
多臓器不全におけるサイトケラチン7(CK7)陽性細胞の役割の解明
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19K18350
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 文崇 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30837315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症や重症外傷など、生体にとって過大な侵襲により生じる多臓器不全は、現代の医療においても未だ死亡率の高い難治性の病態であり、多臓器不全発症メカニズムの解明が必要である。多臓器不全には臓器構造の変化が関与する可能性が高いと考え、病理献体標本を観察したところ、肝臓、腎臓、膵臓におけるサイトケラチン7(CK7)陽性細胞およびCK7陽性管腔構造を見出すに至った。そこで、本研究では多臓器不全において、①ヒト、マウスの各臓器におけるCK7発現細胞の発現様式や生理活性物質等の共発現の有無、②マウスにおけるCK7発現細胞の起源、③マウスにおけるCK7陽性管腔構造の立体構造を調査することにより、CK7陽性細胞の多臓器不全への関与を明らかとすることを目的とした。 今年度は、集中治療室入室患者の病理検体標本を用いて、全身の臓器標本に対しCK7 に対する免疫染色を行い、陽性細胞の数、陽性管腔形成数を調査し、多臓器不全患者における臓器毎の発現数を非多臓器不全患者と比較した。また、死亡時の検査データと照合し、高ビリルビン血症、高アミラーゼ血症、高クレアチニン血症との相関関係につき調査を行った。また、腹膜炎モデルマウス(CLP モデル)に対し、全身の臓器における、CK7 に対する免疫染色を行い、陽性細胞の数、陽性管腔形成数を調査し、ヒトと同様に多臓器不全の有無による発現数の違いを調査した。さらに、細胞障害を誘導する生理活性物質(腫瘍壊死因子等)、線維化を誘導する物質(トランスフォーミング増殖因子等)、細胞起源に関わる物質(CK19 等)との共発現の有無を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおりに進行している
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、集中治療室入室患者の病理検体標本を用いて、全身の臓器標本に対しCK7 に対する免疫染色を行い、陽性細胞の数、陽性管腔形成数を調査し、多臓器不全患者における臓器毎の発現数を非多臓器不全患者と比較する。また、死亡時の検査データと照合し、高ビリルビン血症、高アミラーゼ血症、高クレアチニン血症との相関関係につき調査を行う。この結果、ヒトにおけるCK7 陽性細胞の臓器不全への関与を明らかとなる。また、腹膜炎モデルマウス(CLP モデル)に対し、全身の臓器における、CK7 に対する免疫染色を行い、陽性細胞の数、陽性管腔形成数を調査し、ヒトと同様に多臓器不全の有無による発現数の違いを調査する。さらに、細胞障害を誘導する生理活性物質(腫瘍壊死因子等)、線維化を誘導する物質(トランスフォーミング増殖因子等)、細胞起源に関わる物質(CK19 等)との共発現の有無を調査する。加えて、GFP(Green Floroscent protein)トランスジェニックマウスの骨髄を、放射線照射した野生型マウスに移植する。その後上述のモデルを作製し、CK7 陽性細胞の発生や、C7 陽性管腔の形成における骨髄由来細胞の関与の有無を調査する。上述のマウスモデルにおいて、CK 陽性管腔形成構造の状態を明らかにするために、肝臓、膵臓、腎臓に対し連続切片による免疫染色を行い、CK7 陽性管腔形成を画像解析ソフトを用いて3D 構築する予定である。
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