2019 Fiscal Year Research-status Report
院外心停止例におけるリアルタイム脳循環モニタを指標とした胸骨圧迫法の有用性
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19K18351
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木口 雄之 京都大学, 環境安全保健機構, 研究員 (30724380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 病院外心停止 / 心肺蘇生 / 脳循環 / 病院前救急医療 / 脳循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、まず病院外心停止例における近赤外線分光法モニタで得られる脳循環と胸骨圧迫の質との関係をみる前向き観察研究を開始した。研究協力機関である札幌市との調整が予定より時間を要したためPILOT登録を2019年4月1日より開始した。まずは札幌市内の4消防において対象消防隊の管轄内で発生した病院外心停止例を対象とした。胸骨圧迫の質を測定する加速度センサー付き除細動器はZOLL Medical Coとのレンタル契約に時間を要しており、PILOT登録開始までに準備できなかった。よって近赤外線分光法モニタのみで開始した。PILOT登録の目的としては心停止現場において近赤外線分光法モニタ―で脳循環を測定することは初の試みであるため、①実際に煩雑な心停止現場で解析可能なデータ測定が可能であるか②屋外で測定する可能性もあるため近赤外線分光法モニタのデータが太陽光の影響を受けないか③実際に研究計画通りにデータ集積が可能かといった研究のfeasibilityを中心に測定した。2020年3月までに計37例の登録があり、煩雑になりがちな心停止現場においてもデータ測定が可能で、また集積された近赤外線分光法モニタのデータは太陽光の影響を受けず、十分解析可能であることを確認した。データ集積についてはPILOT登録の対象となっている4消防では当初予定していたサンプル数よりも少なく、PILOT登録期間が当初の予定よりも延長した。原因を精査したところ、現場の救急隊長への周知が十分ではなかったことに起因する対象患者の登録欠損があり、現場への周知を再度行った。また、2020年4月からCOVID-19感染症拡大の影響で、札幌市における症例登録が困難となっており、研究は中断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、研究協力機関である札幌市との調整及び本研究協力に対する協定書の締結が予定より時間を要したためPILOT登録を2019年4月1日より開始した。まずは札幌市内の4消防において対象消防隊の管轄内で発生した病院外心停止症例を対象とした。胸骨圧迫の質を測定するための加速度センサー付き除細動器はZOLL Medical Coとのレンタル契約に時間を要しており、PILOT登録開始までに準備することができなかった。よって近赤外線分光法モニタのみでまずは行うこととした。PILOT登録は問題なく始めることができたが、症例の集積についてはPILOT登録の対象となっている4消防の管轄内では当初予定していたサンプル数よりも少なく、PILOT登録期間が当初の予定よりも延長した。原因について精査したところ、現場の救急隊長への周知が十分ではなかったことに起因する対象患者の登録欠損があり、現場への周知を再度行った。また、2020年4月からCOVID-19感染症拡大の影響で、消防の体制が変更となり、札幌市における症例登録が困難となっており、研究は中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
PILOT登録で明確となった現場レベルでの症例登録の欠損については対象患者の選定等の現場の救急隊長への周知の方法については改善を行った。今後本登録への移行に伴って、データの収集については、関係する消防機関と十分な調整を行いつつ、京都大学および札幌市消防局にそれぞれ研究事務局を設置し、集積データの管理は徹底する。本登録が始まる際は京都大学研究事務局にデータマネージャーを設置する予定である。また月1回ペースで京都大学及び札幌市消防局の事務局間でWeb会議を開催し研究計画、プロトコルおよびデータ収集方法の詳細についての確認をこれまで行っており、研究実施に向けての体制も確立している。この体制は維持し、研究遂行する上で問題が生じた際はその都度事務局間で対応する予定である。現在、COVID-19の感染拡大の影響で研究が中断している状態である。今後大幅に研究計画の変更が必要となり、当初予定していた無作為化介入試験までの遂行が困難な可能性が大きい。よって前向き観察研究でのデータより新しい脳血流指標のアルゴリズムを開発できるような研究計画及び解析案を検討中である。
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Causes of Carryover |
研究が当初の計画よりやや遅延しており、今年度においてはPILOT登録までしか終了していない。そのため、当初計画より経費を必要としなかった。本登録を開始した際には事務局にデータマネージャー等を設置する予定であるので、データクリーニング等にかかる人件費および札幌市との調整にかかる旅費及び会議費が生じる。繰越分はそのための費用に充てる予定である。
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