2020 Fiscal Year Research-status Report
院外心停止例におけるリアルタイム脳循環モニタを指標とした胸骨圧迫法の有用性
Project/Area Number |
19K18351
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木口 雄之 京都大学, 環境安全保健機構, 研究員 (30724380)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 病院外心停止 / 心肺蘇生 / 近赤外線分光法 / 病院前救急医療 / 脳循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に実施したPILOT試験でfeasibilityの確認を終えており、関係機関(札幌市消防局)との調整も終えていた。本年度は本試験を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により北海道における感染者数の増大が止まらない状況となった。心停止患者の蘇生にあたっては、接触した患者が新型コロナウイルス感染症の場合、胸骨圧迫や気道確保の際にエアロゾルが発生し、救急隊を含む医療従事者への感染の可能性がある。このため、札幌市消防局から研究を安全に遂行することが困難な状況のため一旦研究を止めてほしいとの申し出があり状況的にやむをえない状況であったため2020年4月から一度研究を中断した。その後、新型コロナウイルス感染症の流行下でも研究が再開できるように札幌市消防局の担当者と複数回にわたりWeb会議を開催し、議論を尽くした。その結果、札幌における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が落ち着いてきたことと救急隊を含む医療従事者への感染防御についてもプロトコルに明記することで、双方の合意が得られ、新型コロナウイルス感染症の流行下でも研究の再開の見通しを立てることができた。そこから、現場で実際データを測定する救急隊に再度、新型コロナウイルス感染症 流行下での本研究に関わる変更事項を周知、教育し研究再開への準備を行った。また、胸骨圧迫の質を測定する加速度センサー付き除細動器はZOLL Medical Coから提供を受ける予定だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でアメリカとの契約締結に時間を要しており、まだ準備できていない。そのような経過により、当初計画していたよりも試験の開始が遅れたが、2021年1月22日から札幌市消防局の救急隊16隊を対象にNIRO機のみでの試験を開始することができた。今年度においてはそこから3月末まで症例登録を行い、計75例の症例登録を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により大幅に研究計画の変更を余儀なくされた。2019年度にPILOT試験は終了していたが、2020年4月よりセッティングである札幌市における新型コロナウイルス感染拡大の拡大により札幌市消防局から研究を安全に遂行することが困難な状況のため一旦研究を止めてほしいとの申し出があり一度研究を中断した。そこから新型コロナウイルス流行下においても研究が再開できるように札幌市消防局の担当の方と議論を重ねた。その協議よって2021年1月22日からNIRO機のみではあるが札幌市消防局の救急隊16隊を対象に本試験を開始することができた。本試験では胸骨圧迫の質を測定するための加速度センサー付き除細動器を準備する予定であったが、日本、アメリカ両国における新型コロナウイルス感染症拡大の影響でZOLL Medical Coとの契約についても時間を要し、2021年4月14日に契約を締結し、加速度センサー付き除細動器の提供を受ける準備段階に入ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度、新型コロナウイルス感染症の流行下での研究継続のために、研究協力機関である札幌消防と蜜に調整を行い、新型コロナウイルス感染症流行下では移動が制限されるため、流行下においても蜜に会議等が行えるように双方にWeb会議を行える環境は構築した。また新型コロナウイルス感染症流行下においては救急隊を含む医療従事者への感染の可能性があるため、研究プロトコルに①現場の救急隊は心停止患者へ接触する際は防護服等による感染防御をしっかりと行うこと、②NIROのモニターは一回の出動毎にアルコールによる消毒を行うことの二つの注意点は追記した。また、ZOLL Medical Coとの加速度センサー付き除細動器のレンタル契約についても遅延していたが、2021年4月14日に契約を締結し、アメリカから加速度センサー付き除細動器の提供を受ける準備段階に入ることができた。今年度において上記が調整できたことで来年度は症例が集積できることが期待される。新型コロナウイルスの感染拡大による研究の中断の影響で当初予定していた無作為化介入試験までの遂行は困難である。よってフェーズ1の前向き観察研究でのデータより新しい脳血流指標のアルゴリズムを開発できるような研究計画の修正を進めている。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により大幅に研究計画の変更を余儀なくされた。次年度においては新型コロナウイルス流行下でも研究が継続できるように調整ができたことにより、札幌におけるフェーズ1の前向き観察研究での症例登録を進めることができる。またZOLL Medical Coとの加速度センサー付き除細動器のレンタル契約についても遅延していたが、2021年4月14日に契約を締結し、アメリカから加速度センサー付き除細動器の提供を受ける準備段階に入ることができた。よって今日圧迫の質のデータ測定も可能となる。以上のデータより新しい脳血流指標のアルゴリズムを開発できるような研究計画の修正を進めている。
|