2019 Fiscal Year Research-status Report
炎症とミトコンドリア機能障害のクロストークに着目した急性脳症の包括的病態解明
Project/Area Number |
19K18353
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
冨岡 和美 神戸大学, 大学院医学研究科 内科系講座 小児科学分野, 特命助教 (60792017)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 急性脳症 / 小児 / サイトカイン / ミトコンドリア機能障害 / GDF-15 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、急性脳症9例/54検体、熱性けいれん51例/97検体、コントロールとしててんかんの合併のない発達遅滞の10例について、血液保存検体や髄液保存検体を用いてGDF-15と27種類のサイトカインの測定を行った。 急性脳症のうち出血性ショック脳症(HSES)の5例において発症24時間以内の血清中GDF-15の平均値は45352 pg/ml (HSES)でありコントロール(血清)の 271.5 pg/mlと比べ著しく有意に高かった。 一方、血清中サイトカインについても発症後72時間以内の経時的な推移を測定した。HSESにおける血清中サイトカインも血清中GDF-15と同様に発症後24時間以内にコントロール群より著しく高い値をとるものが多かった。IL-1b, IL-6, IL-8, IL-17, MCP-1, MIP-1bなど多くのサイトカインで24時間以内にピークとなりその後低下傾向が見られた。そして INFg, FGF, MCP-1など一部のサイトカインは発症後36時間以降はコントロール値以下に低下していた。 血清中GDF-15についてはミトコンドリア機能障害や炎症においても発現することが報告されている。今回のHSES患者でのGDF-15の上昇は、ウイルス性敗血症に反応した炎症、すなわち「サイトカインストーム」と相関がある可能性があるため、それらの相互関係について今後見当していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のとおり、急性脳症の保存検体を用いてサイトカインとGDF-15を測定し発症早期からの経時的なサイトカインの変化を示すことができたため、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も急性脳症、熱性けいれん、発熱症例とコントロール症例の血液と髄液の検体と臨床データの蓄積を継続し、サイトカイン、GDF-15の測定を行い、次年度はさらにATPの測定も行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は、急性脳症、熱性けいれん、発熱症例とコントロール症例の血液と髄液の検体と臨床データの蓄積を継続し、サイトカイン、GDF-15の測定を行った。検体数が少なかったため試薬代が少なくなったが、次年度はさらにATPの測定も行うためより多くの費用を要する見込みである。
|
Research Products
(16 results)