2020 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞における透過性制御機序の解明と臨床への応用
Project/Area Number |
19K18354
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾迫 貴章 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (30573844)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / 細胞接着結合 / 細胞密着結合 / 腸管透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
過大侵襲下の腸管虚血再灌流傷害は、多臓器不全にまで進展する致死率の高い急性病態である。腸管虚血再灌流傷害では、活性酸素種(ROS)が 腸管上皮透過性亢進作用を主とした腸管虚血再灌流傷害・腸管バリア機能破綻に直接的な役割を演じるとされる。我々は、水素ガスがROSの制 御に重要な役割を果たすことを発信してきた。本研究の目的は、侵襲度を確実に調整出来る腸管虚血再灌流傷害モデルで、腸管上皮細胞の活性 酸素種発現と細胞透過性亢進の関連を検討することで酸化ストレスシグナルの役割を解明し、さらに腸管虚血再灌流傷害を水素ガスにより抑制できるかどうか検討することである。 Caco-2細胞をtranswellのapical底に播種 しchamber内 に100μLの培養液を充填し培養。同時にbasal chamber内に600μLの培養液を充填。播種細胞数は1×10*4/cm2~5× 10*5/cm2間で5段階に設定しモデル作成を検討した。虚血再灌流モデルとしての虚血状態はチャンバー内低酸素(1%)と無グルコース培地置換により、再灌流は通常酸素とグルコース含有培地に戻すことで再還流状態とし、虚血再灌流モデルとした。虚血時間は6時間に設定し、介入群は7ppmに調整した飽和水素培地をapical chamber内に虚血開始時点で充填した。腸管透過性は、TEER測定を用いた。低酸素環境暴露終了後から2時間毎に、TEERを測定。暴露開始直前のTEER値との比で検討した。結果、1×10*4/cm2の播種濃度において、介入群はコントロール群に比し低酸素環境暴露終了時点、2時間後、4時間後、6時間後時点のTEER値が有意差を以て高値であった。つまり、虚血開始時点であっても水素ガス投与により腸管虚血再灌流傷害は軽減されており、水素ガス投与による何らかのシグナルによる作用が関与していると推測された。
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