2020 Fiscal Year Research-status Report
精巣捻転症に対する希少糖による新規治療法の開発-虚血再灌流障害の抑制-
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19K18355
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
形見 祐人 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50791224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精巣 / 精巣捻転 / 虚血再灌流障害 / 血液精巣関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続き、虚血再灌流障害による精巣の病理学的な形態変化、免疫組織化学的な障害の可視化に取り組んだ。負荷強度は、前年度同様に虚血1時間+再灌流24時間とした。HE染色では、動物モデルにおける報告で頻用されているJohnsen's score のほかに急性期の精巣組織障害のスコアリングのための独自の指標を考案し、定量を行った。虚血のみではsham手術群と有意差をみとめなかったが、虚血再灌流群では虚血のみの群・sham手術群と比較し有意な障害がみられた。したがって、虚血1時間+再灌流24時間というモデルは、精巣を温存できた精巣捻転症例における虚血再灌流障害を検証するモデルとして妥当であると考えられた。負荷強度を決定できたため、これ以降の研究では虚血のみ群を除く、虚血再灌流群とsham群の2群を比較することとした。免疫染色では、血液精巣関門の破綻を検証するため、抗アルブミン抗体による染色を行った。虚血再灌流群ではsham手術群よりもアルブミンにより染色される領域が増加している傾向はみられたが、有意差はなかった。 本年度の新しい取り組みとしては、精巣組織におけるRNA発現の解析のため、虚血再灌流群とsham手術群に対して次世代シーケンサーによる網羅的なトランスクリプトーム解析を行った。これにより、虚血再灌流群においてsham手術群よりも酸化ストレスおよびアポトーシスに関連するRNA発現が増加、精子形成に関連するRNA発現が低下していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルブミン染色に関して虚血再灌流障害とsham手術群の間に有意差がみられなかったため、当初予定していた、血液精巣関門破綻を検証する実験に進むことができなかった。しかしそ一方で、新たに次世代シーケンサーによる精巣捻転モデルにおける網羅的トランスクリプトーム解析を行って新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーによって見出したRNA発現の変化について、重要な遺伝子の定量的PCRを行って同様の発現変化がみれれるか確かめるとともに、転写産物レベルでの変化があるのか否かを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響で、参加予定の学会が中止となり、これにかかる支出がなくなった。また、所属する大学の動物実験施設の改修工事(約1年間)に伴い、実験の規模を縮小せざるを得なくなり支出が予定よりも少なくなった。
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