2022 Fiscal Year Annual Research Report
水素ガス吸入療法による薬剤性肝障害に対する新規治療法の開発とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
19K18359
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
政所 祐太郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40794061)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素ガス / アセトアミノフェン / 肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素ガス吸入療法の様々な病態に対する有効性についてはこれまで報告がなされてきていたが、本研究期間の間においても、世界中で問題になっているCOVID19感染症においても水素ガス吸入療法についての報告が増加し、研究が盛んに行われてきている。最近の救急集中治療領域においても敗血症や心停止蘇生後脳症などにおいて研究が行われている。特に神経集中治療の領域は近年注目されている分野であり、心停止症例において蘇生は出来たが脳後遺症が残ってしまうという症例を減らすために様々なアプローチがされている。その分野においては2022年度に心停止蘇生後脳症に対する水素ガス吸入療法の臨床試験において水素ガス吸入の有効性が発表され大きな注目を浴びている。敗血症に関しても、酸化ストレス障害に起因する血管内皮障害;グリコカリックスの破綻が病態増悪の一因といわれており、これまでに水素ガスはその破綻を保護するという報告もある。最終年度に関しては、このようにさまざまな病態における水素ガス吸入療法の効果が期待できる病態の知見を学会や勉強会等で深めることによって、肝障害モデルに対する効果を示す方法について模索した。
これまで本研究においては、アセトアミノフェン過量投与による肝障害モデルマウスに対して、その治療として既に確立されているNアセチルシステイン(NAC)と水素ガス吸入を行い生存率を比較し、NAC では生存が改善傾向であったが、水素ガス投与では生存の改善が得られなかった。水素ガスが効かない原因として肝障害が強すぎる可能性(強すぎる肝障害ではNAPQIの排泄機構がうまく働かない可能性)を考え、動物モデルの重症度をコントロールするよう実験を継続したが、その重症度のコントロールに難渋した。今後、効果を示すことができる重症度の探索およびその重症度モデルを安定して作成する技術が必要となると思われる。
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